いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法科高校の劣等生 (28) 追跡編 〈上〉」佐島勤(電撃文庫)

光宣による水波の奪取を許してしまった深雪――。達也は、助けを求める深雪の声に応え巳焼島を飛び立つ。
光宣に魔法を放つことができなかったことを悔いる深雪。最も忠義を尽くす深雪を前にして、光宣を背中に庇ってしまったことを責める水波。
すれ違ってしまった二人は自責の念を抱え、思い悩んでいた。
そして、それぞれの思惑を抱いた、達也、十師族、さらに九島 烈の仇を討たんとする通称「抜刀隊」が光宣の大追跡を開始する!!
そんなとき、フリードスーツを纏い空を疾走する達也に魔の手が迫っていた。


ここに来て新キャラ?しかも学生の!?と思ったら、そういうことか、なーんだ。
リーナ便利に使われてんなー。戦略級魔法師がこんな扱いでいいのか? そのリーナが呆れるくらいに深雪が久々に暴走気味で、バカップルが発動してたのが面白かった。

さて本題は、追跡編のタイトルが示す通り、水波を攫っていった光宣の追跡をする28巻。
……の、はずなんだけど、
達也は一体何と戦っているんだ?
いや、相手が光宣なのは分かってるんだけど、わざわざ無駄な労力を使っているみたいで、水波の救出よりも知的欲求を優先しているようにも思える。なんだか、達也が苦戦する要因を作るのに、作者が四苦八苦しているように感じた。やっぱり光宣をラスボスに据えるのは無理があったのでは?
結局やったことと言えば、パッと出の生霊になぜか苦戦して、光宣とは首都と樹海という超遠距離で不毛な力比べしてただけという。状況は動かないし、絵的には何もないしで退屈で仕方がなかった。
その動かない状況を打破しつつハイライトを作るための、千葉兄や呂剛虎の再登場だったんだろうけど、こちらもあっさり決着で拍子抜け。物語終盤に過去の味方や敵が出てくるのは盛り上がる場面なのは間違いないが、こうやって小出しにしてたら効果薄だと思うんだが。もったいない。
しかし最近冴えないな、このシリーズ。