いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「噂の学園一美少女な先輩がモブの俺に惚れてるって、これなんのバグですか?」瓜生聖(角川スニーカー文庫)

平凡な学園生活を送る高校生・鷹野祐。自らモブとして目立つことを避ける彼は、カースト上位陣すら近付けない、孤高を貫く学園一の美少女・衣川マトに――なぜか、抱きしめられて!?
「鷹野くん……鷹野くん! 鷹野くん!」「ちょっ、先輩!?」
注目を集める祐だったが、彼女自身は周りの視線なんてお構いなし! 告白してきたイケメン生徒会長をもスルーして、全開の好意を向けてくる。学園一とまで言われる美少女と過ごすことで、充実した学園ライフを送る祐だったが――彼が自らモブとして過ごす原因となった過去と、彼女は何か関係があり!?
モブが好感度MAXの美少女と送る、最高の学園ラブコメ!

サイバーセキュリティ小説コンテスト<大賞>受賞作


重っ!
タイトルとあらすじからは想像できない、人の悪意を前面に押し出したヘビーな内容に度肝を抜かれた。クズな大人の欲の被害に遭う(遭った)子供たちがそれに必死に抗う、大人VS子供の図式になっていて、頑張れ!半分、憤り半分で読む作品だった。
それで、前提になる過去の問題は別にして、現在起こる問題がトラッキングマルウェア、フィッシング等々、ネット社会の脅威/犯罪を扱っているのが特徴。専門用語もバンバン出てくる本格的な内容で、Windows10ごときで四苦八苦している自分には詳細はチンプンカンプンながら、どれも噛み砕いて説明してくれるので、その事件の危険度や対処している時の緊張感はちゃんと伝わってくる。サイバーセキュリティ小説コンテストって、こういうことか。
また、ホームズに憧れていたという主人公の推理力も見逃せない。サイバーセキュリティは門外漢ながら、事実の断片から問題の本質を突いていく、彼の思考を追うのも面白い。
ちなみにタイトルから想像されるラブコメ要素は、まあ普通かな。正直要らないと思ったシーンもあったが、重い空気を和らげる効果はあったような気がする。
真面目で濃いサイバーセキュリティの内容にミステリ要素、ラブコメはあれだったけど青春感はちゃんとあって、かなり予想外な方向で面白かった。



相変わらずのタイトル改悪かと思ったら、元タイトルもおかしかった。まあ、あらすじが一番おかしいがw