いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「理系な彼女の誘惑がポンコツかわいい」長田信織(角川スニーカー文庫)

「私が、あなたを魅了し尽くしてみせるわ」
セレブの子息令嬢が通う私立瑛銘学院。外部編入ながら学院首席の久遠寺梓と、名家のお嬢様であり数学の天才・弥勒院由槻は、学院の特権を賭けた“恋愛ゲーム”に参加することに(参加者総勢2名)。持ち得る知識を駆使して梓にアプローチをかける由槻だったが、その方法はいちいちズレていて……。「簡単に言うと『私と会っていないときに会いたくなる度数』ね」「よく堂々と言えるなそんなこと!?」由槻、お前ほんとはバカだろ。――どちらがよりエリートか、それは“相手を恋に落とせば”わかる。知性派高校生たちによる計算高い“惚れさせ合い”合戦、開幕!


勉強は全教科万能ながら人付き合いはポンコツな男子生徒・梓と、数学だけは天才的だがあとはからっきし、もちろん常識もダメダメな女子生徒・由槻による、へっぽこな恋の駆け引きを楽しむ数学×恋愛の理系ラブコメ
最近アニメ化された漫画作品に大変良く似た、ある意味思い切りのいいあらすじに惹かれて購入。某かぐや様との違いは、相手に「あなたを恋に落とします」と宣言してから正々堂々面と向かって勝負しているところ。

タイトルに偽りなしのポンコツ可愛さだった。
大学まで行かないと出てこない高度な数式や方程式を、恋愛に当てはめて梓の攻略にかかるヒロイン、由槻のズレた行動を楽しむのがメイン。運命の出会いが誕生日のパラドックスで台無しになったり、ハーレムの合理性効率性を説いたり、色々酷い。酷いのだが、数式を使った理論そのものには意外と説得力があるのが不思議な感覚。なのにその理論が行動に全く繋がらないのがポンコツたる所以。そのギャップが面白い。
また由槻の所作がいちいち可愛い。
理論を振りかざす時のドヤ感や、梓にだけ心を許している特別感。照れると敬語になる分かりやすいサインに、恋人らしいことをやってみたいけど言い出せない自信なさげなところ。それでいて思い切るところは行き過ぎてしまうところ。どれも良かった。
これは数式が出てくるとワクワクしてしまう理系男子垂涎のラブコメ。私の好みにどストライクでした。