いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法学校首席になったら嫁と娘と一軒家がついてきたんだが」桐山なると(ファミ通文庫)

一般教養で満点を取り、なんとか学年首席になったミジョア。首席になれば狭苦しい学生寮を出て、最新魔法が施された一軒家に住める。うきうきで屋敷に向かうとそこには先住者がいた。教師の手違いにより、魔法の天才&変人と名高いエルキッサにも居住権が出されていたのだ! 頑なに出て行かない美人同級生と同棲をすることになったうえ、二人を「おとしゃん! おかしゃん!」と呼ぶ魔法生物まで現れて――!? 不思議で温かなアットホーム学園ライフ、開幕!


久しくファミ通文庫を買っていないし、作者の前作『オミサワさんは次元がちがう』が面白かったので買ってみたのだが、残念ながら合わなかった。
常に台詞がハイテンションで、見栄と虚勢を張り続けている主人公の性格と、どうにもキャラが定まらないヒロインの不安定さ、どちらも苦手。
それに説明不足が目立ち、置いてけぼりを感じることの多い作品でもあった。
魔法学校を舞台にした話なのだが、世界の説明も魔法の説明もほとんど無く、肝心の寮に関する制度の説明は薄い。授業風景も元の寮の様子も皆無なのに、唐突に出てくるクラスメイト。誰?何処?何?と思うことの多いこと。そもそも何故こんなに登場人物を増やしてしまったのか。やることが多くて、焦点が分かり辛い物語になっていた。
それでも、成り上がり貴族の出の主人公と、落ち目の武の一族のヒロイン。それぞれ家族愛に飢えた二人が突然できた子供(幼女の姿をした魔法生物)の世話に四苦八苦しながら、一緒に暮らす温かさを知り、友好を深めていく様子は良かった。これが3人のホームコメディに集中して楽しめるような作品の作りになっていたら、この主人公でも素直に楽しめたかもしれない。