いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「犯人AIのインテリジェンス・アンプリファー 探偵AI2」早坂吝(新潮文庫nex)

人工知能探偵・相以の驚異的な推理力に大敗を喫した以相。復讐に燃える彼女は、人間の知能を増幅させ完璧な共犯者を造り、相以に挑戦状を叩きつけた。ゴムボートで漂着した死体、密室で殺された漁協長、首相公邸内殺人事件。連鎖する不可解な事象を読み解く一筋の推理の紐は、なんと以相の仕掛けた恐るべきトリックの導火線だった!? 奇想とロジックが宙を舞う超絶推理バトル再燃。


AI探偵相以の事件簿、第二弾。
1巻と違ってミステリらしいミステリが出てきた。
かなりアンタッチャブでエンターテインメント性の高いトリックと、道中で感じる違和感と疑問をすべて回収していく相以の推理の気持ち良さ。ミステリとして探偵小説として、素晴らしい出来。とても面白かった。
ただ、1巻と比べると一枚二枚落ちるか。
今回は一冊で一つの事件を扱う長編だった事と、《犯人》AIの以相がメインの話だったのもあるのか、探偵がAIである必要性は感じなかった。AIの抱える問題と事件を絡めて解決していく1巻の形式が、ミステリ×AIの小説として完璧過ぎた。
また、AIそのものも完璧過ぎた。
1巻では相以と以相、どちらもポンコツを晒してくれていたので愛嬌が生まれていたのが、今回は二人とも冷静沈着。TPOが読めなかったりの若干のボケはあっても、思考停止など大きなミスはなし。こちらの方がAIらしいのだろうけど、キャラクターとしては1巻の方が断然魅力があった。
1巻が良かった作品の2巻は難しいなと、改めて感じる作品だった。