いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ぼくの妹は息をしている (仮)」鹿路けりま(電撃文庫)

「人を殺す小説を書きてえなあ。」
どうせ小説を書くのならそんな小説がいいと、ぼくは常々思っていた。そしてかばんの中には、そんなぼくの「処女作」がある。そう、自分の「脳」を用いた自動執筆装置によって、ぼくはついに小説の作者になったのだ。
さて、どんな物語が出来るのだろうか。最初に登場したのは真っ白な髪をした美少女、妹のユキ。風呂まで一緒に入りたがる兄離れできない甘えん坊。ん? なんか萌え萌えしたラノベ的波動を感じるが、ぼくの小説に限って──。うぅ──。
意識を取り戻したぼくを、金髪美少女のかりんが迎える。「あなたの小説について、先生がお待ちです──」さっきのは夢? ぼ、ぼくの小説は──?


辛うじて読み切った。しんどかった。

支離滅裂。他に言いようがない。
辞典によると
文章:幾つかの文で、まとまった思想・感情を表したもの。(新明解国語辞典第四版より)
なので、文の前後で意味の通じないところが多々あるこれは、ただ文の連なりであって文章ではないと思う。
メタフィクションとSFで煙に巻きながら、使いたかった台詞、使いたかった設定、使いたかった格好いい単語、二次元妹愛を、一冊にまとめて供養したかったのではないか? というのが読み終わった時に真っ先に浮かんだ印象。
理路整然を良しとし、矛盾は何かの伏線じゃないかと疑ってしまう自分の読書スタイルには、全く合わない作品だった。
電撃がこういうタイプの作品を出すのは意外。