いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔女の花嫁 seasons beside a witch」空伏空人(LINE文庫エッジ)

不治の病に罹った少年・桑折冬至ははずれの森に住む変わり者の魔女・ミーズに出会う。その魔女は対価を払えば、どんな願いでも叶えてくれるが、願いの対価は彼女の気分次第。珈琲を淹れることから、心臓を取られることまで、何を要求されても文句は言えない。冬至の願いを聞いた魔女が伝えた対価は――。
「ふふっ、今日から君は私の弟子だ」
「へ?」  
これは『僕』と『魔女のお姉さん』の季節をめぐる物語。


(・ワ・)<ちょーしょく、でりばり、かしこまりー
(・ワ・)<それ、たのしいです?
(・ワ・)<おかしあるです?
(・ワ・)<それは、つくれんです
(・ワ・)<それなー


というやり取りが、バックヤードで聞こえた気がしなくもない、妖精さんみたいな『彼ら』も出てくる魔女の世界のお話。あとがきによると他にもいろいろパロディがあるらしい。(私にはわかりませんでした)

余命一ヵ月の中一の少年が魔女の森に迷い込み、そこで出会った魔女に助けてもらう代償に弟子になるところから始まる物語。
魔女のお姉さんこと師匠のミーズと、思春期の少年ハルの共同生活が話の軸なのだけど、二人の関係性が案外淡白なのと、会話がワンパターンなので、あまり楽しめなかった。もう少し執着や愛着が感じられれば、最終章は盛り上がったと思うのだが。お互いに相手でなければならない理由が希薄かな、と。
結局、善と悪の定義に拘る、その間に線引きすることを極端に嫌う魔女たちの姿ばかりが印象に残る話だった。これがこの作品で最も言いたかったこと、なんだろうなあ、たぶん。
世界観もストーリーも悪くないとは思うのだけど、今一つピンとこない、波長の合わない作品だった。