いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「居酒屋ぼったくり おかわり!」秋川滝美(アルファポリス)

東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。名に似合わずお得なその店には、旨い酒と美味しい料理、そして今時珍しい義理人情がある――
全国の銘酒情報、簡単なつまみの作り方も満載! 旨いものと人々のふれあいを描いた短編連作小説、番外編!!


居酒屋ぼったくり、その後のお話。
帯には番外編とあるけれど、それらしい話は新規の常連客ができる一話目だけで、二話目からはいつもの常連客たち、新装開店後のぼったくりとご町内の話なので、12巻と言った方がしっくりくる。
開店中に常連たちがぼったくりで町内の問題を愚痴っていって、深夜に帰ってくる要が解決策や意見を言うという定番の流れ。結婚してもお店が新しくなっても、変わりなくてホッとする。それでも、要の呑む場所が2階になっていて、夫婦になった証拠とばかりに惚気話が多くなって甘さが増しているのが、これまでと違う点。要はこれまで通りに落ち着いているので、客から家族に関係が変わったことで、線引きをしなくなった美音から出るの甘さかな。
甘さと言えば、その二人だけでなく二話目の馨と哲、六話目のアキとリュウと、若いカップルにも進展があって、甘さ増し増しだったのが嬉しいところ。読み物の甘味は大好物なので。馨は一緒になったらどっちに住むのかな?
また、素朴で美味しそうな料理の数々もいつも通り。大体は作れそうなものなので、呑兵衛料理人の血が騒ぐ。初鰹とか新タマとか、時期が違って手に入らないものには「そんな殺生な」と思うけど(苦笑) 銀皮造りとからし醤油は是非ともやってみたい。
お酒の方は、今回は日本酒特化だったので焼酎党の自分にはちょっと残念。1本くらい焼酎出してくれてもいいのに。
番外編(自称)も変わらず面白かった。いつもの空気に加えて幸せの空気がいっぱいで、最高の「おかわり」だった。