いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「絶対城先輩の妖怪学講座 十二」峰守ひろかず(メディアワークス文庫)

『真怪秘録』をまとめる中で、妖怪学の限界を感じたという絶対城。熱意を失った彼は、文学部の非常勤講師として妖怪学を教えてくれないか、という織口からの誘いも断ってしまう。そんな中、礼音が何者かに狙われていることが発覚。大切な人を守るため、事件の調査に乗り出す絶対城だったが、一方で、その一件の解決をもって妖怪学徒を廃業するとも宣言し――。猫また、猫ばば、五徳猫。事件の鍵を握るのは『猫』!? 絶対城阿頼耶、最後の事件!


絶対城先輩の妖怪学講座、完結!
最後は猫の話。有名どころは大体出ただろうと思っていたが、まだ化け猫、猫又がいたか。
身近な動物であるからこそ沢山の伝説があって、気まぐれだから動きが読めなくて、見た目が愛くるしいからこそ裏の顔の恐ろしさが際立つ。こうしてみると猫って妖怪になりやすい動物なんだなあ。それにしてもこの話のオチは、、、怖いわ! 猫カフェとか怖くて入れなくなるじゃないですか(^^; 
最終巻の話としては、もっとエピローグ的なものになるかと思っていたら、身近で起きる不思議な事件を解決しながら、次第に大きな事件に巻き込まれていくいつもの流れ。それでも二人は隙あらばイチャイチャしていたけれど。いや、シリーズ後半ではこれも日常だったっけ。
でも、特別じゃなかったのがむしろ良かった。
今回も発揮されるアッと驚くトンデモ理論と、本当にそれがあるのでは/真実なんじゃないかと思ってしまう説得力。やっぱり絶対城先輩はこうでないと。それに、大きな事件の後でも普段どおりの二人の様子から、この先の明るい未来を容易に思い描けるのも良かった。
最後まで面白かった。妖怪好きの知的好奇心を存分に満たしてくれて、冒険譚としても面白く、イチャラブまで楽しめる大好きなシリーズだった。