いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「君死にたもう流星群5」松山剛(MF文庫J)

人工衛星テロ『大流星群』で命を落とした天野河星乃。平野大地は彼女を救うため、高校時代にタイムリープを果たす。そこで彼は多くの友人たちの『夢』を手助けするが、一方で自分自身に夢がないことに劣等感を抱くようになっていく。星乃が宇宙飛行士という夢に着々と近づく中、大地はそれを素直に喜べない。そんな中、謎の後輩『犂紫苑』が現れて、「私がガニメデですよ」と正体を明かし……。黒幕『ガニメデ』との対決、失踪するイオ、ダークウェブ潜入、ブラックマーケット・オークション、不死身の地球外生命体、腕に出現する謎の文字、過去からの恐るべき逆襲――。『夢』と『宇宙』の感動巨編、最高潮の第五弾!


人生に失敗し最愛の人も亡くした青年がタイムスリップしてやり直す、SFサスペンス第5弾。
突然、意識の中に元の17歳の自分が顔を出し、身体を乗っ取られる2週目の大地。過去の自分を客観的に見ることで、2週目の負目もあってか自分のことは二の次にしてきた大地が、ついに自分の夢と向き合う。

苦く苦しい物語だった。
ゴールの高さだけを見て失敗を恐れたり諦めたりする姿や、自分にはセンスがない自分は特別ではないと自覚して心を折られていく過程がリアルで、これまでの誰かの夢を後押しする話と違い、夢を追うことの負の面を前面に押し出したような厳しさ。それだけにこれが『夢』の物語なんだと実感できた。
そんな苦しむ大地を支えようとするのが、後押しされてきた4人がというが良い。一人は“敵”から大地を守り、三人は自分の言葉で相談に乗り、励まし、叱咤する。最後の一押しこそ他の人に譲ったものの、大地が頑張ってきた事が自分に返ってくる展開が胸を打った。
さて、SFサスペンスの方は、
紫苑の登場でサスペンスと言うよりホラーになってるような。それと六星が空気にw
まあそれはそれとして、今回もこれまでと同じような断片的なヒントだけで、もう少し話が進まないと進展はなさそう。未来人たちの会話が、赤の他人の指示代名詞ばかりの会話を聞いているような気分になってきた。
主人公が立ち直り、恒例の衝撃のラストで新たな謎(火種?)が投入され、これから物語がどう転がるか目が離せない。