いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ヒマワリ高校初恋部!」辻堂ゆめ(LINE文庫)

私立向日葵高校では、今年から生徒全員が何らかの部活動に入らなければいけないことになった。帰宅部だったハルは、苦し紛れに「初恋部」という名の部活を自ら設立して部長に就任する。生まれてこの方恋を一度もしたことがない女子生徒が無事初恋をできるようにする――というわけのわからない活動目的を掲げ、所属部員が自分一人という部活を作り上げたのだ。しかし、誰も入ってこないと思っていた「初恋部」に、なんと続々と入部希望者が現れ始めた! まだ初恋の経験さえない個性豊かな女子高生四人がひょんなことからさまざまな謎にぶつかり、それを解き明かしていくことになる――。


「初恋部」というタイトルからは想像できない、全く予想外なものが出てきた。
女の子たちが恋に邁進する話かと思うじゃないですか、普通。それが蓋を開けたら、恋に繋がりそうな活動をする過程で遭遇する謎を解決していく、学園日常ミステリだった。しかも、トリック(というか成り行き)を真剣に考察し、犯人(というか当事者)を割り出す形式で、ちゃんとミステリしてるという。
そして一番の驚きが、問題解決後に犯人(当事者)の恋が成就する場合はあっても、肝心の初恋部のメンバーには恋の気配が欠片もないということ。本当に一ミリもない。「どうしてこうなった!?」と、読者以上に部を立ち上げたハルが思ってそう。
そのハルはともかく他の三人は普通にモテていて、その気になったら恋の一つや二つできそうなのに、理想が斜め上過ぎて……このキャラの濃さと残念さが彼女たちの魅力だろう。
女の子4人があーでもないこーでもないとわいわいとしている様子が楽しく、頓珍漢な活動内容と馬鹿なことを一生懸命やっている「変な部活ものラノベ」の面白さがあり、そして予想外で先が見えないストーリーで、楽しい読書時間だった。
初恋をしたら退部らしいけど、この分だと卒業まで誰も退部しそうにないなあ(苦笑)