いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ぶたぶたのシェアハウス」矢崎存美(光文社文庫)

閑静な住宅街の中にある「シェアハウス&キッチンY」は、全六室の小さな共同住宅。一階には、大きくて温かみのあるキッチンがあって、昼間は近所の人たちが集まるイベントスポットになる。そこに新しく引っ越してきた実里は、玄関で出迎えてくれたオーナー兼管理人の姿に驚愕する――(「ワケアリの家」)。心優しい頼れる山崎ぶたぶたが、住人たちのために大活躍!


久しぶりに奥さんと娘二人が登場! 奥さんは森のシェフにも出てきたが、娘たちは本当に久しぶり。しかも下の子が主人公の話があって、いつも以上に顔がほころんでしまう。
そんなわけで今回は一家で登場のぶたぶたさんの職業はシェアハウス運営。といっても、併設されているシェアキッチンの方がメインな話が多いけど。ぶたぶたさんは、やっぱりキッチンよね。
シェアハウスのコンセプトが「DVや虐待で行き場を失った人のシェルター」だったこともあり、家庭内パワハラモラハラの話題が多かった。各話の主人公に被害者もいれば加害者もいる。
この手の問題は加害者は当事者意識ゼロなんだよね。その典型例だった「自分のことは」のお父さん。自業自得としか思わないので同情心なんて全く湧かないが、残念ながら定年後に妻に見放されるこういう男性、世の中にいっぱいいるんだろうな。ほんのちょっとの思い遣りで、結果は全く違うのに。
他に印象に残ったのは、作者の他作品とクロスオーバーした「優しくされたい」。ぶたぶたさんならミケさんと普通に話せそう。それにこの話に出てくる茄子味噌おにぎりが美味そうで、思わずお腹がw
今回も考えさせられる話題がありつつ、終いには癒されほっこりするお話たちでした。