いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「結婚が前提のラブコメ」栗ノ原草介(ガガガ文庫)

“結婚できない人を結婚させる仲人”、白城縁太郎は今日も婚活女子のサポートに奔走している。言動がアレなエロ漫画家、牡丹(25♀)。ひたすら玉の輿を狙う元令嬢、カレン(年齢非公表♀)。究極のダメンズほいほい保育士、まひる(30♀)。そして、とある婚活パーティで出会った結衣(26♀)は、なにやらワケありの様子で……? 結婚するには難アリな彼女たちと過ごす、第二の青春。そこには、笑いと涙、葛藤と希望が満ちていて――。
ぜったい結婚したい系婚活ラブコメ、ここに開宴!


独身ながらに、祖母から受け継いだ結婚相談所を切り盛りする青年の物語。
結婚相談所や仲人の存在が現代社会とは違う独特な世界観で、一風変わったお仕事小説として興味を惹かれる内容だった。また、顧客の女性の親身になってサポートする姿に誠実さを感じさせる、主人公の縁太郎の人柄も好ましい。
でも、これはラブコメなのか?
主人公は仲人であくまでサポート役でラブの気配はなく、顧客の女性が紹介した相手と交際に発展することはあっても、それが話の前面に出てくることはないので、どちらにしてもラブを感じることがない。それに婚活にはみんな真剣で、コメディらしく笑えるところも見当たらない。強いてコメディらしいところを上げるならメインヒロインの変わった趣味ぐらい。
これなら適齢期を過ぎた必死さ故の空回りを笑いに転換した方が、素直にコメディになったような気がするが。本気で取り組んでいる人をネタにするのは憚られたんだろうか? 
変わった世界観にはおっと思うところがあったものの、ラブコメだと思って読み始めた所為か、今一つピンと来ない話だった。