いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 アンソロジー1 雪乃side」渡航 他(ガガガ文庫)

青春群像小説の金字塔「俺ガイル」がついに完結! 9年の軌跡とアニメ3期の放映を祝し、アンソロジーを4冊を連続刊行。
本作「雪乃side」は、「雪ノ下雪乃」にまつわる短編とイラストを集めた1冊。石川博品さがら総、天津向、水沢夢裕時悠示ら超豪華作家陣が書き下ろし短編を特別寄稿。さらに人気イラストレーター、うかみ、春日歩、切符、ももこの書き下ろしイラストを収録。もちろん、渡航、ぽんかん(8)の原作コンビも参加! 夢のコラボが実現した、ここでしか読めない、珠玉の物語集!


俺ガイルアンソロジー第1弾。
雪乃sideと言っても、全部が雪乃視点ではないのね。むしろ雪乃視点なのは一作だけ。
というわけで、大半が本家と同じ八幡視点なのだけど、
他の作家が書く八幡の違和感が凄い。
やっぱりあの味は渡先生にしか出せないんだなって。



以下各話事(敬称略)



その答えは風に吹かれている。 by石川博品
内容:パンツ
お馬鹿な男子高校生フルスロットルで、短編としてはとても面白い。
でも、これは誰ですか? どう好意的に読んでも八幡ではない。戸塚愛だけは本物だったけど。



将棋はとっても楽しいなあ!!! byさがら総
内容:奉仕部に将棋部からの依頼が舞い込む
まずは一人果敢に雪乃視点に挑んださがみ先生に感謝を。
そう、私はこれが読みたかった。叶えてくれたのは貴方だけでした。
しかも割とデレのんで可愛い。素晴らしい。



雪ノ下雪乃比企谷八幡の、期せず生まれた初舞台 by天津向
内容:八幡と雪乃、地域の子供にお笑いを披露する
地の文の口調の違和感もさることながら案件がね。この二人ならどんな手を使ってでも全力で回避しそうだし、平塚先生も全く不向きな話は持ってこないと思うんだ。
笑いのネタが大人なら笑えるシュールで毒のある路線に行ってしまうのは二人らしい。



いつしか雪ノ下雪乃の髪は、あの日の風に揺れる by水沢夢
内容:多忙の疲れから、髪が痛む雪乃
八幡への違和感が最も少なかったがこの作品。それでいてちゃんと自分の得意ステージに持っていく技量に感服。……はするのだけど、ここでもツインテール愛がほとばしってしまう水沢先生に感心すればいいのか呆れればいいのかw
海老名さんのお悩みとその返しが秀逸。



そして、雪ノ下雪乃(29)は問い直す by裕時悠示
内容:丸菱銀行総務部監視委員、雪ノ下雪乃
八幡ではなく八幡に似た他の語り部を立てて雪乃を表現するのは上手いな、と。これなら違和感なく読める。
誠実でクソ真面目で不器用な雪乃らしさが出ていて良かった。
但し、29まで独り身なのが確定してしまっている悲しみも強いw



斯くして、彼の前に新たな敵は現れる。 by渡航
内容:雪ノ下家の一家団欒
本家はまさかのパパのん視点。
お父上はこんな家庭環境でよく胃に穴が空かないなと関心と同情の念で読み始めたら、ちょくちょく惚気てくるし、厳格な外面と中身のギャップは激しいしで、なかなかに可愛い人だった。
ママのんも割と天然なところがあるし、雪ノ下家みんなかわいいかよ! ということはもしかして陽乃さんも? いや、ないな。この人だけは悪だくみしているところしか想像できない。
そんなパパのん視点でも際立つ、デレのんの破壊力。上目遣いで不安そうに「……だめ?」なんてどこで覚えてきたんですか! お父さん許しませんよ(錯乱