いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「銀河鉄道の夜を越えて ~月とライカと吸血姫 星町編~」牧野圭祐(ガガガ文庫)

極東の島国にある「星町」に住む私は、宇宙飛行士のイリナやレフに憧れ、宇宙に夢を見る高校2年生。親友とケンカ別れしたまま孤独の中にいた私は「星祭り」の夜に「吸血鬼」と噂される美少女に出会う。彼女は転校してきて以来ずっと欠席していた同級生のアリアだった。「さぁ、『星巡り』の旅に出ましょう」。アリアに手を引かれた私は、宇宙を旅する列車にふたりきりで乗り込んだ――。
牧野圭祐と次世代J‐POPアーティストH△Gとのコラボで生まれた声劇脚本が本人の手により完全小説化! 新規描き下ろしイラスト、声劇脚本もまるまる収録!


主人公のミサは、引っ込み思案で何をしても上手くいかず自分に自信がない高校2年生の女の子。そんな彼女がお祭りの日に、謎多きの不登校転校生のアリアと出会い、惑星を巡る不思議な旅に出ることに。『月とライカと吸血姫』の世界の極東の島国を舞台に、宇宙を夢見る平凡なミサと吸血鬼かもしれないアリアの不思議な“銀河鉄道”の旅。
太陽系の惑星を地球から順に外側へ巡る鉄道旅の中で、ミサが諦めかけている夢、中学の時に負った心の傷、親友と喧嘩別れしてしまった後悔など、色々な悩みや不安をアリアに打ち明けることで、心を軽くし前向きな気持ちを取り戻していく。
ファンタジーなのにバリバリ現実主義な本編とは打って変わって、詩的でメルヘンチックな世界観。その中で小動物なイメージなミサと、ミステリアスで妖艶なアリアのスキンシップ多めのやりとりが、微かに百合を感じさせてくれる。
ミサの成長というメッセージ性もありつつ、どこか耽美的な印象も受ける、冷戦時の闇が濃い本編と違ってふわふわした読み心地の一冊だった。
企画ものなので単発のスピンオフかと思いきや、本編のどこかに関わってくるらしい。ミサの夢からすると本編登場はクライマックス付近かしら。何はともあれ本編6巻が待ち遠しい。