いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「就業規則に書いてあります!」桑野一弘(メディアワークス文庫)

平河東子は大手企業人事部の労務管理。社員皆が健やかな職場環境を作る事にやりがいを感じていた。だが業績悪化でリストラに。叔父の伝で再就職したのは、違法すれすれの労働が蔓延る、下請けのアニメ制作会社だった――!
過剰な労働時間、最低賃金を大幅に下回る月収。日常的なパワハラ、セクハラ、従業員の失踪……。問題だらけの「8プランニング」の労務管理者になった東子は、”アニメの鬼”と怖れられる演出担当・堂島蕎太郎をはじめ、業界の闇と真っ向から対決する羽目に!?


会社の不祥事による人員削減のとばっちりを受けた大手の労務管理をしていた堅物新人・平河東子vs二徹三徹当たり前、アニメに命を懸け自分にも他人にも厳しい“アニメの鬼”の敏腕演出・堂島喬太郎
アニメ業界と労務管理、とことん相性の悪い組み合わせをどう料理するのか、非常に楽しみにしていた作品だったのだけど……。
うーん、舞台設定ミスなのか、あらすじが悪いのか。
第一話はまだ労務管理の仕事の範疇だとは思うけど、第二話第三話は他社の不正を暴く話になっていて、労務管理の仕事ではなくなってしまっている。
それはそれで勧善懲悪な話で痛快ではあるけれど、超絶ブラックなアニメ業界に、どうやってメスを入れるかを楽しみにしていたので、肝心な自社の労働状況が改善されている様子がないのは拍子抜け。
描写がないということは、たぶん改善はしていないだろう。まあ実際問題、業界を下支えする下請けが労基を真面目に守ったら、なんもできなくなるんだけどね。アニメ業界に限らず。
面白くないわけではなかったが、作品の趣旨と自分が読みたかったものが噛み合わなかった。残念。