いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「継母の連れ子が元カノだった 4 ファースト・キスが布告する」紙城境介(角川スニーカー文庫)

親の再婚できょうだいになった水斗と結女は、元恋人同士。“家族”らしさも板についてきた二人だが、ときおりあの頃の思い出が蘇り、やっぱりお互いが気になる日々で――。そんな夏休みも半ば、伊理戸一家は父方の実家に帰省する。「水斗くんじゃ~ん!! ひっさしぶりぃーっ!!」水斗をハグで出迎えたのは、親戚の清楚風陽キャお姉さん・種里円香。なぜか彼女には従順な水斗に、結女は察する――この人、水斗の初恋相手!?
昔の恋は振り切って、今の関係を受け入れたはずの元カレと元カノに、未練が渦巻く三度目の夏祭りが訪れる。
結女の決断に元カップルが大いに揺れ動く、夏休み帰省編!


初めて一家四人で田舎の伊理戸家に帰省する夏休み編。
若干の水斗視点と箸休め的に某幼馴染みの話が一話あっただけで、大半が結女視点。初めての親戚付き合いで自分の知らない水斗や彼のルーツを知る、結女のための4巻だった。
恋に浮かれていた綾井結女ではなく、伊理戸結女として伊理戸水斗と向き合う。そこに至る流れや葛藤の過程が濃密に描かれていた。特に彼氏彼女だった時と家族になってからの時間、両方があったからこそ水斗の心の機微に敏くなっている結女の様子は、どれだけ特別なのかが分かって嬉しくなる。そして、そこまで丁寧にやってくれた分、吹っ切れた後の行動の甘さと感動をじっくり噛みしめられる。
また、そこまで結女を突き動かした一要因、年の近い親戚のお姉さん円香の存在が大きかった。
結女を時に悩ませ、時に焚き付け、時に心情を吐露させる。性格は少々、いやかなりウザかったけど、根暗少女を動かすにはこれくらいの行動力が必要か。
親戚のお姉さんと言えば、幼気な男の子の心を弄ぶ結女さん。悪女だわーw 現在進行形で親戚のお姉さんに振り回されているのに、自分がその親戚のお姉さんになっていることに何故気付かないのか。あ、水斗のことで頭がいっぱいでそれどころではないからですね、はい。
当てられるくらい青春を味わった。やっぱり恋心に真剣に悩む少女はいいものだ。
次から吹っ切れた結女の攻勢が楽しみ。でも、結女は覚悟を決めたのから、今度は水斗の番になる?