いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「異世界居酒屋「のぶ」 六杯目」蝉川夏哉(宝島社文庫)

古都は大市も終わり、秋が深まり冬が近づいていた。新たな運河を海まで通す計画が進む中、侯爵家の当主となったアルヌも、古都がよりよくなるように邁進している。そんなアルヌには婚約者がいる。〈凍てつく島〉と呼ばれる北方の国にいる〈銀の虹〉の髪を持つ乙女なのだが、その地方では古くから、男が女を攫うようにして結婚をする「掠奪婚」の風習が残っていた。アルヌはこの結婚、一体どうする……?


セレスさんといい何故この世界のお姫様はこうもお転婆なのか。いいですね、大好物です。
それと3巻のあれといい、古風なメロドラマ大好きなんだなと。……作者とはいい酒が飲めそうだ。
なんて、ちょっと特別なイベントが起きたりもしたけれど、六杯目の「のぶ」もいつもと変わらず通常営業。
料理の方も相変わらずの飯テロ力。一つ選ぶとしたらサバの塩焼き。堅物の意思をひっくり返した業績、と言いたいところだけど帯の返しに挿絵が美味しそうでね。ただ、最後のメインの話の主役だったから仕方がない面もあるが、天ぷら過多だった気がしないでもない。おでんの天ぷらは、、、あんまりかな。
また、巻数を重ねるにしたがって、新しいお客さんよりも常連客の動向を追うことが多くなっている流れも変わらず。
もっと一見さんの新鮮な驚きがあってもと思わなくもないが、常連さんの変化や成長が垣間見えるのは嬉しいもので。一押しはエレオノーラのエピソード。すっかり可愛く愉快なお姉さんになってしまって。ニコラウスとは順調そうで何より。
常連たちだけでなくハンスとタイショーにも一皮剥けるエピソードがあって、次からの営業も楽しみ。まあ、いつも通りなんだろうけど。馴染みの居酒屋はいつも通りが一番。