いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「嘘嘘嘘、でも愛してる」川田戯曲(富士見ファンタジア文庫)

記憶喪失の俺が目を覚ました病室には、三人の美少女がいた。
平然とデレてくるクールセクシーなクラスメイト・色町紙織。
スポーツ万能で密着過多なアホ可愛い幼なじみ・花屋敷花蓮
ちょいウザ素直でグイグイくるスレンダー女友だち・雪縫霙。
彼女たちは俺のことが好きらしく、手作りのお弁当をあーんしてくれたり、下校中にいちゃつきながら密着してきたり、勇気を出してアプローチをしてくる。うらやましい生活だろ? だけど、記憶を取り戻していくうちに思い出してしまったんだ。
――彼女たちの誰かが、俺を殺そうとしたことを。


交通事故によって記憶喪失になってしまった主人公が病院のベッドで目を覚ますと、三人の美少女に囲まれていた。彼女たちとの交流を通じて、断片的に少しずつ記憶を取り戻していく主人公。しかし、その中に交通事故直前に誰かに突き飛ばされた記憶があって――というラブコメディ×サスペンス。
ブコメとしては面白かった。
よく言えば個性的、正直に言えばかなりぶっ飛んでいる三人のヒロインのキャラクターは特濃。そんな彼女たちとの会話もまたアグレッシブで楽しい。特に言葉のチョイスに独特のセンスを感じる。
但し、サスペンスととしては大変残念な出来。
早々に容疑者から外れたも同然な一人と、あからさまにミスリード要員な一人。わかりやすいなあと思いながら読んではいたが、、、種明かし前に自らバラしてどうする。
地の文でヒロインは苗字で表記していたのに、それが急に「彼女」になって、しかも会話の口調で誰かバレバレだったら、犯人分かっちゃうでしょう(^^; こんなに気の抜けた全くハラハラしない修羅場シーンは流石に初めてだ。ミスリードしようとしてたそこまでの話は何だったんだ。
おまけに主人公が事なかれ主義としか思えないラストもあって、読後感はモヤっと。
あとがきに「次巻」の文字があるのだけど、もうやることなくない? 敗者にムチ打つ未来しか見えないんだけど。これの続きではなく会話文メインの普通のラブコメでお願いしまず。