いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「わたしの旦那はタイムトラベラー」森川秀樹(富士見L文庫)

絵に描いたように平凡なお人好しな末莉に訪れた、イケメン弘紀との運命の出逢い。3回目のデートでプロポーズ、出逢って2ヵ月でゴールイン! 誰もが羨む寿退社を遂げた、はずだったのだが――
「僕は未来からやって来た。この結婚も任務の一環でしかない」
新婚旅行当日に旦那から突然の告白。そのジョーク全然面白くないですよ、と流していたのだが……本当にタイムトラベル事件発生! 任務って? この時代に来た理由ってなんなの!?
一筋縄ではいかない虚構のラブラブ新婚生活!


新婚で最愛の夫は違法タイムトラベルを取り締まる時空警察だった!? 新婚旅行先でその事実と愛はないと告げられた新婦が、時に夫を見返すため、時に夫を助けるために奮闘するSFラブコメディ。
前半は自分を無能扱いする偽の夫に自分を認めさせるために、お人好しな主人公が空回りしてトラブルを起こす、なんちゃってSFのコメディ+人情の話。
後半は容疑者を真剣に探すSFサスペンス。前半のノリのまま進むのでタイムトラベル周りにはツッコミどころ沢山ではあるが、ピンチの連続で緊張感があったし、容疑者が二転三転する展開がスリリング。
で、結局これはコメディとSFのどちらがやりたかったんだろう?
コメディするにしては疑似夫婦の性格が良すぎてトラブルが小さく、SFするにしては設定が杜撰。
一生懸命さと人の良さが売りの奥さんと残念イケメンの旦那のキャラが立っているので、キャラクター小説としてはそれなりに面白いが、物語としては中途半端な感は否めない。
どこにピントを合わせればいいのか、戸惑いを抱えたまま終わってしまった残念な一冊だった。どちらかに焦点を絞ればもっと面白くなったのに。