いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね?」高木幸一(GA文庫)

「そこ、部屋を裸とか下着で歩かないっ!先輩を誘惑しないでっ!」
天涯孤独となった高校生、黒川真は、なぜか4姉妹と住むことに――。
小説家の長女、「きみは生理的にOK」と、クールな高校生の次女、元気いっぱいで、真になついてくる小学生の四女、そして――。
「あ、あのっ!あ、あたし……、黒川先輩のことが……好きです」
「君にはふさわしくないよ。俺は」
中学の卒業式に告白をお断りした後輩が三女だった!? 真面目で堅物な後輩、姫芽は同居に対してツンツン。真の方も一緒に住むことに気まずさを感じる(ですよねー)。 誘惑の多い同居生活と過去の恋。甘く、もどかしい青春ラブコメ開幕!


唯一の親類であった祖父が亡くなり、遠縁の草原家に居候することになった黒川真。そこには中学の卒業式の日に告白を断った後輩が居て――というシチュエーションのひとつ屋根の下ラブコメ
こんなタイトルなので、ラッキースケベ多めのドタバタラブコメを予想していたら、早くに親を亡くした少年少女が家族を求めるシリアスめのホームコメディが出てきた。
家長の宙子のあけすけな人柄もあり、草原家の美人四姉妹とのやり取りは基本明るく楽しいものになっているが、主人公と四姉妹のどちらも親がおらず親戚に恵まれていないので(特に主人公側はクズ)、ところどころでシリアスが顔を出す。なので、何も考えずに楽しむラブコメというよりは、しっかり読み応えがある「家族の物語」になっている。
と言いつつそこはライトノベル、キャラクターの魅力は十分。
からかい上手な長女、しっかり者の次女、ツンツンな三女、天真爛漫な四女とそれぞれに個性的。また、主人公も優しく誠実な人柄なので、読んでいて嫌な気分にならないのが良いところ。
但し、扱いは三女がメインヒロインなのに、今のところ三女が一番魅力がないので、ラブコメとして読むと少々ちぐはぐ。その所為もあってラブコメ<<<ホームコメディになっているのだが。それでも告白シーンは情熱的だったので、三女の巻き返しは次回以降に期待ということで。
予想外のものが出てきたが、心温まるいい話だったので満足。ラブ成分は次から本番かな。メインは決まっているが、個人的には次女の頑張りに期待したいところ。