いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「終末なにしてますか?異伝 リーリァ・アスプレイ#02」枯野瑛(角川スニーカー文庫)

聖剣セニオリスの調整に訪れた幽霊船都市国バゼルフィドルで、正規勇者(リーガル・ブレイブ)リーリァにできたはじめての友人・エマ。「正規勇者は、正義の味方じゃねぇ。あくまでも、人類の味方であって、人類の敵の敵だ」
そんな守護者が、友人を奪われたとき。そしてその友人が、人類の敵になったとき。リーリァは必殺の聖剣を手に、何を想うのか――。いつかは滅びゆく大地で、いまを生きる勇者と人々の烈しくも可憐な日々、その第2幕。


先生、嘘はいけません。ヴィレム少年、センスないだ弱いだと罵られまくってるじゃないですか。それでなくても本編でも続編でも無駄にいっぱい背負ってるんだから、外伝ぐらいは楽させあげてよ。
そんな、色んな意味でいつも通りの本編主人公は置いといて、これは正規勇者リーリァ・アスプレイが主人公の外伝。聖剣セニオリスの調整と束の間の休暇に巻き込まれる事件の話の続き。
状況や思惑が複雑に絡み合い、完全な正義も完全な悪もいない“いつもの状況”と違い、「人に恋した醜い化け物と、その悲恋に擬えて勇者の抹殺を企む人間、いったいどちらが醜いのか」という正と悪に分けやすく、メッセージ性がストレートな、このシリーズとしては珍しい話だった。
まあ、運命という名の理不尽を突きつけてくるのはいつも通りなのだけど。家族であっても友達であっても時にはすれ違う。そんな当たり前の話なのに、この世界では一つの間違いが悲しい結末へと一直線になるからやりきれない。
また、聖剣の工房が舞台の一つということで、聖剣の小話がいくつか出て来るのが本編読者には興味深い。
ヴァルガリスってどこかで……ああアイセアのか(ググった)。RPGの終盤によくある物理攻撃特化タイプだったのね。割と扱いが適当だなw それとパーシヴァルの特性の説明と共にここでもディスられるヴィレムさん……。
最悪は免れても結局別れの結末は決まっているだよなと、しんみりした気持ちでエピローグを読んでいたら、、、 え? あれ? 戻ってくるの??? これは続くかもしれない。