いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「学芸員・西紋寺唱真の呪術蒐集録」峰守ひろかず(メディアワークス文庫)

北鎌倉に建つアンティーク博物館に、その人はいる。眉目秀麗、博覧強記、慇懃無礼。博物館界のプリンスと呼ばれる名物学芸員・西紋寺唱真の実態は――呪いの専門家。とりわけ「実践的呪術」を追求し蒐集する、変人だ。
運の悪い大学生・宇河琴美は、西紋寺のもとで実習を受けることに。だが、実習内容は呪いにまつわるものばかり。しかも怪しい事件が次々と持ち込まれ――。憧れの学芸員資格取得のため、西紋寺の実習生兼助手(?)として呪術の謎と怪事件に挑む!


不幸にも博物館の実習に漏れてしまった女子大生が受け入れてくれた私営の博物館に実習に行き、「呪い」が専門の変人学芸員に振り回される物語。
というわけで、妖怪作品で有名な峰守先生の新作は、メインテーマが妖怪ではなく呪い。呪い・呪術で起きたと思われる事件を追う物語。その中で学芸員資格の実習は真面目に行われるので、博物館の学芸員が普段どんな仕事をしているのか、博物館・美術館に行っただけでは知ることのできない、学芸員の仕事が垣間見えるお仕事小説にもなっている。まあ、扱っているのが呪いの道具やパチモンの妖怪遺物なのはご愛敬ということでw
呪いとは思えないほど明るく楽しい。何がかというと凸凹師弟コンビの掛け合いが。
クール系で人を寄せ付けない雰囲気のある学芸員・西紋寺唱真と、自分の運の無さを嘆きつつも、それにへこたれる様子は微塵もない陽キャの気がある女子大生・宇河琴美。
第一印象では相容れなさそうな二人だったのだが、蓋を開けてみれば息はピッタリ。知識と冷静さを西紋寺が、閃きとバイタリティを琴美がとお互いの長所が噛み合って、会話と物語がポンポン進む様子が軽快で気持ちいい。
作者の他作品のように、妖怪というインパクトのあるキャラクターが居ない分、メイン二人のキャラクターによりフォーカスされている気がするのも、いつも以上にキャラが立っているように感じる要因かも。
呪術という単語と西紋寺の第一印象からもっとシリアスな話を想像していたが、終わってみればいつも以上に軽快で後味も爽快な物語だった。面白かった。