いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法科高校の劣等生 (32) サクリファイス編/卒業編」佐島勤(電撃文庫)

達也の元に届いた九島光宜からの挑戦状。パラサイトを制御下に置くだけにとどまらず、かつて達也を苦しめた周公瑾の知識も獲得した光宜は、病身という唯一の欠点すら克服し、日本へ戻ってきた。
彼の狙いはただ一つ。愛する少女・水波の救済。
一方、水波を救いたいと願う達也と深雪の気持ちもまた光宜と同じだった。しかし、両者の信念の違いから、激突は避けられそうになかった。
名実ともに『最強の魔法師』となった達也と、人外と亡霊の力を宿した『最強の敵』となった光宜。
二人は、決戦の地、東富士演習場で激突する!
魔法科高校入学から三年。達也と深雪が過ごした波乱の高校生活に、ついに幕が下りる。
そして、二人の恋の行方は――。


規格外兄妹の波乱の高校生活に幕が下りる完結編。
思いっきり続くって書いてあるんですけど!? いやまあ、来月の刊行予定ですでに知ってたけどさ。魔法科高校は卒業するから『魔法科高校の劣等生』としては完結で間違いないか。
前回の事後処理と卒業にまでの日々を、淡々とかつ駆け足で走り抜けていったような高校生編最終巻で、そんなに急がなくてもと思いながら読んだ。モノリス・コード対抗戦とか読みたかったなあ。
メインイベントのvs光宜は案の定盛り上がらず。
光宜が今更達也に適うはずもなく、達也の方がラスボスを通り越して絶望的な裏ボス感を出していて、光宜はレベルが全然足りてない勇者ポディション。二ヵ月前に命からがら逃げ出しといて、あの時は互角だったとか言い出す光宜くんギャグセンスはちょっと面白かったけど、笑わす意図はないよね、たぶん。
そんな、何の盛り上がりもないまましんみり終わりそうだった空気をぶち壊す救世主が最後の最後に登場する。その名は一条将輝
ありがとうプリンス。やり方と内容はともかく最高に盛り上がった。でもプリンス、相手の気持ちを一切考慮に入れていない独り善がりの時点で、男としてダメだと思うぞ。

物語は『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー』へ続く……って、あれ? 魔法科高校を卒業したから完結なのに、タイトルに「続」が付くだけなの? エピローグを読む限り『魔法大学の劣等生』でいいような気がするけど。分かりやすさ重視なのかな。