いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「天才王子の赤字国家再生術8 ~そうだ、売国しよう~」鳥羽徹(GA文庫)

選聖会議。大陸西側の有力者が一堂に会する舞台に、ウェインは再び招待を受けた。それが帝国との手切れを迫るための罠だと知りつつ、西へ向かうウェインの方針は――
「全力で蝙蝠を貫いてみせる! 」
これであった。
グリュエールをはじめ実力者たちと前哨戦を繰り広げつつ、選聖会議の舞台・古都ルシャンへと乗り込むウェイン。だが着いて早々、選聖侯殺害の犯人という、無実の罪を着せられてしまい!?
策動する選聖侯や帝国の実力者たち、そして外交で存在感を増していくフラーニャ、天才王子の謀才が大陸全土を巻き込み始める第八弾!


ウェインが大陸西側の魑魅魍魎が跋扈する選聖会議に再び呼ばれる第8巻。西と言ったらこの人、悪魔婆カルドメリアと三度相対する西側外交編。
陰謀渦巻く会議室大戦だった。事件は外で起きているけど、戦いは会議室で。
事故だったり、つい殺っちゃったりした人死にを、誤魔化したり誰かに被せたりするのがいつものパターンだが、今回は擦り付けられそうになる殺人の汚名を挽回するために動く、いつにも増してミステリ風味。しかし、そこはウェイン。真犯人を充てるのではなく、自分とナトラの利益のために犯人をでっち上げる実に“らしい”やり口で楽しませてくれる。まあ、真犯人がアレだったので糾弾できなかったのはあるだろうけど。
そこまででもケレン味たっぷりで面白かったのだけど、本番はその後。
不測の事態という名のカルドメリアの策略を利用して、蝙蝠外交、所謂「どっちつかず」を続ける為に、西の魑魅魍魎たちを煙に巻き手玉に取る手管は痛快の一言。普通ならイライラしかしない「何も決まらない会議」をこうやって使うのかと感心すると共に、溜飲が下がる思い。
それはそうとロワさん、抜け目がないように見えて、その実便利に使われちゃってるけどいいんですか? 次男も婆にいいように操られちゃってるし、帝国は大丈夫なんだろうか?(駄目そう) ……頑張れロワちゃん! ところでなんでおへそ出してるんです?(P183)
さて、今回のカワイイニニム成分は……おお!いつも以上にウェインに甘えてる!
胸にすりすりも良かったが、王子に髪を梳かせるの図がそりゃあもう尊くて。フラーニャが頬を染めつつ興味津々で見るのがよくわかる。
そのニニムさん、何やら大きな秘密があるようで。これは今後、囚われの姫を助ける王子の図になる!?