いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ロクでなし魔術講師と禁忌教典18」羊太郎(富士見ファンタジア文庫)

『ありがとう、グレン。私はお前に出会えて幸せだった』
その書き置きを残して、セリカは消えた。《剣の姫》エリエーテが帝国軍を圧倒し、天の智慧研究会が総力をあげてフェジテの街へと迫ろうとしていた日。彼女は自らの使命を思い出す。
帝国宮廷魔導士団、魔術学院の教師や生徒たち。誰もが己のできることを信じ、防衛準備を進めるなか、崩れそうになるグレンの心。セリカを止めるなら今しかない。それでも――
「俺は……教師だ。だったら、あいつらを……守ってやらねえと」
決断のときは迫る。倒すべき大導師が姿を現し、明かされる禁忌教典の謎。最後の決戦が、ここに始まる――!


最後の決戦スタートな18巻。
最終決戦? これはただの戦争でしょう。
冒頭サクッと何万人もの被害者が出た上に、ゾンビ化して帝都が阿鼻叫喚の地獄絵図になって度肝を抜かれた。ここ2巻で規模が個人から軍へ、軍から国へとジャンプアップしている。しかしこれ、この後勝っても戦後復興にとんでもない労力と時間が掛かるだろうし、勝っても喜べる環境じゃなくなってしまったから、オールハッピーなエンドは難しそうだ。
その後グレンたちへと視点が戻ってくると、、、今できる伏線回収を忙しなくやっていった。
そんなのあったねと思い出すものから、そんな重要なことをサラっと?と驚くものまで、がっつり説明回。ちょいとばかり風呂敷広げ過ぎたね。
説明以外の事が動くところは、全てがラスボス《大導師》の掌の上ですよ、という描写が成されているので、後で盛り上げるために不安を煽るのがメイン。かつてのボスキャラと再度対戦するロックマン的イベントもあったけど、楽勝してグレンとシスティの成長度合いを見せる意味合いが強くて、あまり盛り上がる感じではなかった。
まあ今回は魔王討伐編を憂いなく気持ちよく進めるための準備回だったということだろう。
それより気になるのが、システィとルミアの立ち位置に明確な差が出来たこと。隣に立ち共に戦うヒロインと囚われのお姫様なヒロイン、どちらが正妻にの座を勝ち取るのか最後まで目が離せない。(どちらも選ばないエンドの可能性が最も高いことからは目を逸らしつつ)