いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「Babel I 少女は言葉の旅に出る」古宮九時(電撃の新文芸)

現代日本から突如異世界に迷い込んでしまった女子大生の水瀬雫。剣と魔法が常識の世界の辺境に降り立ってしまい途方に暮れる彼女だったが、魔法文字を研究する風変わりな魔法士の青年・エリクと偶然出会う。
「――お願いします、私を助けてください」
「いいよ。でも代わりに一つお願いがある。僕に、君の国の文字を教えてくれ」
日本に帰還する術を探すため、魔法大国ファルサスを目指す旅に出る二人。その旅路は、不条理で不可思議な謎に満ちていて。――そうして、運命は回りだした。
これは、言葉にまつわる物語。二人の旅立ちによって胎動をはじめたばかりの、世界の希望と変革の物語。

web版未読。文庫版既読。


文庫版と全然違う!
大筋は変わらないけど、一つ一つのエピソードが別物。あちこちでまとわりついてくるターキスが凄いストーカーっぽい(おい
という半分冗談は置いといて、エルクと雫の会話が増えているのが嬉しく、またそれが楽しい。
タイトルからも分かるように言葉を大切にするファンタジーなので、言葉に関する考察が増えただけ、この世界への理解度が深まって没入感も深まる気がする。
また、増えた会話の中で雫が頻繁にエルクに伝わらない現代ジョークを挿むものだから、雫への印象が少し変わった。文庫版の物静かなイメージから明るい印象に。
それでも、芯が強くて精神的にタフな本質はそのまま。何の力もなく異世界に放り出されてこの行動力。これで自分は個性がないって言ってるのよね、この娘。雫に没個性と思わせる姉と妹はどれだけキャラが濃いんだか。
一方で、雫とエルクの二人のシーンが増えた分、メアの存在感がなくなっていた。活躍の場は次回かな?
最後に『Unnamed Memory』ファンには気になる名前が出てきて、2巻がどう変わっているのか楽しみ。