いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち」佐島勤(電撃文庫)

伝説の魔法師・司波達也とその妹・深雪が卒業して一年。魔法科高校に二人の少女が入学する。
十文字アリサと遠上茉莉花
幼少から本当の姉妹のように育てられてきたが、「とある」事情で二年前からアリサは魔法師の名家、十文字家に預けられていた。彼女たちは、第一高校に入学したことで久しぶりの再会を果たす。
無邪気で無防備なアリサと茉莉花
魔法の勉強、部活、友情、青春、そして恋――たくさんのドキドキワクワクに胸踊らせながら、二人の魔法科高校での生活が幕を開ける!


達也たちが卒業してから一年後の一高を舞台にした新シリーズ。
金髪翠眼の目立つ容姿とは真逆の控えめな性格のアリサと、魔法格闘技の中学チャンピオンで活発な茉莉花。一高に入学し二年ぶりに再会した親友の二人の物語。入学早々上級生に喧嘩を売られたり、テロリストと戦ったりすることはなく、ごく普通の学園生活が描かれる。表紙や挿絵は百合っぽいが、本編にその気はない。

とは言っても、そこは魔法科高校の世界。何か起こるんでしょ?と思っていたら、本当に何も起こらなかった。
メイン二人の生い立ちと境遇を紹介する前日譚に始まり、再会から入学、同級生や上級生との出会い、委員会への勧誘やクラブ探しと、新入生春の一連の行事を無難に熟していった。
その中で達也の同級生や先輩方の弟妹らしき人物たちがちらほら出てたり、あちこちに達也の功績が見えたりして、前シリーズの読者としては楽しいが、ここから入る人にはキャラ紹介と世界観紹介以上の内容は無かった。まあ、ここからスタートする人は少ないと思うが。
それでも、能力は高いのに守ってあげたくなる系ヒロインのアリサと、アリサが好きすぎるが難点ながら強くなることには貪欲な茉莉花、どちらも好感が持てるキャラクターで、これからどんな困難に立ち向かいどう成長していくのか、今後が楽しみ。競うことが苦手なアリサが主人公だけど、ちゃんと九校戦はあるかしら?