いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「義妹生活」三河ごーすと(MF文庫J)

高校生の浅村悠太は、親の再婚をきっかけに、学年で一番の美少女・綾瀬沙季と一つ屋根の下で兄妹として暮らすことになった。互いに両親の不仲を見てきたため男女関係に慎重な価値観を持つ二人は、歩み寄りすぎず、対立もせず、適度な距離感を保とうと約束する。家族の愛情に飢え孤独に努力を重ねてきたがゆえに他人に甘える術を知らない沙季と、彼女の兄としての関わり方に戸惑う悠太。どこか似た者同士だった二人は、次第に互いとの生活に居心地の良さを感じていき……。
これはいつか恋に至るかもしれない物語。赤の他人だった男女の関係が、少しずつ、近づいていき、ゆっくりと、変わっていく日々を綴った、恋愛生活小説。

なにやらYouTubeで進行している企画の小説版だそうで。知らなんだ。


高校二年の男女が親の再婚で兄妹になり、ひとつ屋根の下で暮らすことになるラブストーリー。
ラノベに限らず二次元エンタメでは大変よくあるシチュエーションでありながら、ラッキースケベなお約束イベントは無ければ(あっても本人たちが意識しない)今のところ甘さもない、とても静かな雰囲気の作品となっている。また、一日一日の描写が濃密で作中ではたった一週間しか経っておらず、流れる時間がゆっくりなのも特徴。
そんな高校生の男女とは思えない空気を醸し出す浅村悠太と綾瀬沙季。親の不幸な離婚を見てきて二人は、他人(特に異性)に期待しない。ゆえに友達はほとんど作らない。誰かに頼ることは極端に苦手。という人間関係が淡白な似た者同士。お互いの性質に尊重し合える相性の良さはみせているが、男女が共同生活するにはよくても恋愛小説としては動かしにくそうで、実際あまり動きがない。そんな人と触れ合うことが苦手な二人が一緒に暮らすことで、どう変化していくのかを楽しむ作品になるのだろう。
今のところ、ゆったり時間が流れる感覚と落ち着いた雰囲気が良かった。くらいの感想。二人の性格がどうみても恋愛向きではないので、甘さが出るまでにはしばらく掛かりそう。