いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「継母の連れ子が元カノだった6 あのとき言えなかった六つのこと」紙城境介(角川スニーカー文庫)

親の再婚できょうだいになった水斗と結女は、元恋人同士。水斗といさなが付き合っているという噂で校内が色めく一方、結女は水斗との距離を縮められないままで……。そんな初秋、きょうだい揃って文化祭の実行委員に選ばれる!
衣装選びに放課後の準備作業……長くなる二人きりの時間に、夏祭りのキスの真意を確かめようとする水斗。そして水斗に自分の好意を気付かせたい結女。探り合いながら迎えた、文化祭当日――二人は展示の見回りを任されるが、これってもうデートでは!?
「なぁ。『好き』って、なんなんだ?」
カップルが、お互いの気持ちに向き合う文化祭編!


6巻は友人らの策略で兄妹で実行委員に選ばれてしまった文化祭編。水斗回。

「みんな」と居るのは気疲れする←わかる
気の合う少数と付き合うのはいいが、群れたがる奴らの心理がわからない←まったくだ
場の空気を壊さない愛想笑いと当たり障りのない会話は出来るけど疲れる←ですよね
みんなでワイワイするより一人で読書していた方が断然楽しい←全くもってその通り
そんな違う人間を「好き」になるはずがない←そうs……待て。それは関係ない。
水斗の考え方があまりに自分に似ていたので、共感しすぎて思わず全てを肯定したくなってしまった。いさなが「違う」人を好きになっちゃいけないことはないって言っていたが、むしろ違う方が良いぞ。あまりに似通っているとちょっとしたズレが気になって大きな歪みになるから。同好のオタクが解釈違いで大喧嘩するみたいに。
そんなわけで水斗君めんどくさいの回だった。恋愛事に向いてない性格にな上に、中学時代が黒歴史になって相当こじらせてるな。最後のほんのちょっとのわがままで何かが変わると良いけれど。
それにしても流石いさなさん、「違う」ことにかけては年季が違いますね。水斗にかける言葉が的確。結果的に敵に塩を送っている辺りが実にいさならしい。
一方の結女は、周りのサポートもあり初めのうちは押せていたのに、思い悩む水斗を見て弱気に逆戻り。相手のことを慮ることが出来るのは彼女の美点であり弱点だ。臨機応変が出来る器用さがあれば……物語になってないか。4巻の決意と勢いの復活が待たれる。
理想と現実の乖離に悩む少年、今回もまた濃い青春だった。
水斗が自分の葛藤に100%ではなくても答えを出し、これで今度こそスタートラインに立てた気がするので、次回の進展に期待したい。(こいつらいっつもスタートライン目指しているな)
二人の向く方向さえ合えば一気にことは進みそうなのに、微妙にずれ続けるこのもどかしさ。これが両片思いの醍醐味か。