いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 VI」支倉凍砂(電撃文庫)

破滅へと向かう聖クルザ騎士団の窮地を救ったコルとミューリ。彼らの騎士としての在り方に絆の答えを見つけたコルたちは、二人だけの騎士団を結成する。
憧れの騎士という肩書きに夢中になるミューリだが、立場上コルに素直に甘えられなくなり、頭を悩ませることに。そこにハイランドから、麦の大生産地・ラポネルの調査依頼が舞い込む。
賢狼の娘ミューリは麦の産地と聞いて意気込む。しかしその地の元領主ノードストンには、悪魔と取引しているという不穏な噂があった。そして、王国と教会の争いを解決する可能性を秘めた新大陸発見への手助けを“薄明の枢機卿”コルに持ち掛けてきて――!?


二人だけの騎士団の結成し、新たな旅に出る第6巻。
コルの騎士となったミューリは、、、特に変わらないな。いつも通りのわがままで可愛い天真爛漫な振る舞い。あらすじでは立場上甘えられなくなり悩むなんてあるけれど、むしろ以前より甘えてたように思う。立場が明確になって安心して甘えてるのかなと。
さて、今回の問題は麦実る地の変わり者元領主。そして物の見方の話。
毎度、権力者や商人の言葉の裏にあるものを探し当てるのがメインテーマのようなところがあるけれど、今回はいつも以上に隠し事を持っている人が多く、人の言うことを正面から受け止めて額面通りに取ってしまうコルにとっては辛い状況。そこにおとぎ話のような話が二つも加わって、煙に巻かれたような状況に。
これは真実に辿り着くまでに相当苦労しそうだと身構えていたら、後半急に同窓会の様相を呈してきて、本題を忘れて楽しくなってしまった。
キーマンさん、エーブが女狐ならあんたは男狐でしょうに。同族嫌悪だな。ディアナさん懐かしい。あの能面を笑わせるミューリはさすが。でもげっぷてw 猫の化身の錬金術師はフェネシスを思わせるけど、流石に別人だろうなあ。
なんて、懐かしさを楽しんでいたら、いつの間にか話が繋がっていた。これでいいのか? まあいいか。元領主の秘密の方はミューリの鼻で大体答えが出ていたし。
でコルは、いやコル坊は最後までこれかい。素直さが売りのコルにはいつも以上に苦手な状況だったけど、それにしてもこのラストは情けない。ガンバレお兄ちゃん。
コルの株がまた暴落していたけど、その分ミューリの活躍が多くて(狼姿もあるよ!)今回も面白かった。
終盤の流れからすると、西の大陸の話が本格化する兆し? 伝説の剣探しにはならないと思うけど。