いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います」香坂マト(電撃文庫)

内勤だから超安全、公務だから超安定! 理想の職業「ギルドの受付嬢」となったアリナを待っていたのは、理想とは程遠い残業三昧の日々だった。すべてはダンジョンの攻略が滞っているせい! 限界を迎えたアリナは隠し持つ一級冒険者ライセンスと銀に輝く大槌(ウォーハンマー)を手に、自らボス討伐に向かう――そう、何を隠そう彼女こそ、行き詰ったダンジョンに現れ、単身ボスを倒していくと巷で噂される正体不明の凄腕冒険者「処刑人」なのだ……!
でもそれは絶対にヒミツ。なぜなら受付嬢は「副業禁止」だからだ!!!! それなのに、ボス討伐の際に居合わせたギルド最強の盾役に正体がバレてしまい――??

第27回で電撃小説大賞金賞受賞作


内容はタイトル通り。現代に置き換えて要約すると、ブラック企業に勤めるOLが、残業とストーカーと先輩からの業務の押し付けとストーカーとクレーマーとストーカーと上司からの無理難題に悩む話。ファンタジーの世界も世知辛いね。

まっっったく合いませんでした。
残業とか糞上司とか社会の柵とかをコメディにして笑い飛ばそうというコンセプトは伝わってきたが、基本的に主人公の不幸をコメディにして笑う話は好きじゃない。主人公が気にしていないならまだ読めるけど、常にイライラしているような作品はどう楽しんでいいのか分からない。特に本作は縁遠いストーカー被害以外は、他の悩みは身につまされる内容ばかりでとても笑えない。
その上、ストーカーにしてもギルマスにしても、主人公が困った人を放っておけないいい子なのをいいことに、強く押せば断れないだろうと、その弱みにつけ込んでいるようにしか思えない。これこそパワハラだ。
戦闘は主人公が強すぎて爽快感により作業感が強く、ストーカーはなぜか許され、結局残業生活に戻ってるしで、スッキリ出来るところがないまま、彼女の境遇と状況に同情はするばかりで終わってしまった。
コメディにマジレスしても仕方がないけれど、主人公のアリナさんには冒険者として稼ぐだけ稼いで、後は自堕落な隠居生活することを勧めたい。