いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「門番少女と雨宿りの日常」寿司サンダー(富士見ファンタジア文庫)

中学の時の失敗を引きずり、家にも学校にも馴染めない高校1年生の碧木照。昼休みに赴いた屋上前で、門番の如く鎮座するひとつ上の先輩・雨森心に出会う。可愛いけれどちょっと抜けてる雨森と過ごすうちに蠱毒は消失し、どこにもないと思っていた居場所を屋上前に見出していく。雨森に後押しされ碧木がクラスに馴染み始めた頃、しかし彼女は屋上前から姿を消してしまう。
人間関係の難しさ、ドロップアウトする恐怖、ひとりぼっちを看破されたくない心。学校生活でぶち当たる様々な壁に、あがきながらも立ち向かう碧木と雨森。二人に訪れる雨上がりの瞬間とは……。悩んだことのある全ての人に贈る青春ストーリー。

第33回ファンタジア大賞入選作



会話劇なのに会話が非常に読みづらいという致命的欠陥を持つ作品でした。


以下酷評


会話文が若者言葉の軽いノリで言葉のチョイスが独特。ここまでは個性的でいいのだが、その言葉選びが喋り言葉としては不自然で、会話のテンポがとても悪い。独特の言葉のセンスと相まって会話がまるで頭に入ってこない。
それ以上に問題なのが、キャラクターがみんな同じ口調で同じノリなこと。
軽薄で変な言葉遣いの奴が一人二人いる分には別に何とも思わないんだが、みんながみんなこうだと疲れる上に、二人の会話なら話す順番でどちらが話しているか分かっても、三人以上になるともう誰が喋ってるのか分からなくなる。生徒会長まで同じノリで話し出した時は絶望した。誰かが分かるのは、口数が少ない声オタ少年くらいじゃないだろうか。
さらに、もう一つ言うならメリハリがない。
ふざけているシーンでも真面目なシーンでも、軽薄なノリのまま会話する。シリアスな終盤まであの調子で会話させるのは無しだろう。
周りに馴染めず息苦しく生きにくい若者が、苦し紛れでもバカやって笑い飛ばす。というコンセプトは若者らしくて青春感があって良かったのだが、キャラクターもシーンも書き分けが出来ていない状態では感動のしようがない。