いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「四元館の殺人 ―探偵AIのリアル・ディープラーニング―」早坂吝(新潮文庫nex)

今度の舞台は雪山の館。驚天動地の犯人、爆誕!?
「犯罪オークションへようこそ! 」
犯人のAI・以相が電脳空間で開催した闇オークション、落札したのは従姉を殺され復讐を誓う少女!? 以相の企みを阻止すべく、探偵のAI・相以と助手の輔が辿り着いた先は、奇怪な館、四元館だった。連鎖する不可思議な殺人事件。人工知能の推理が解き明かす前代未聞の「犯人」とは!?
本格ミステリの奇才が“館ミステリ"の新たなる地平を鮮烈に切り開く!


探偵AIシリーズ第三弾は、我らがAI探偵相以ちゃんがミステリのド定番「館もの」に挑む!
なるほど、タイトルにすべてが書かれていたのですね。
これは凄い! これぞまさに館ものの究極系。相以の存在も以相の存在もおまけになるくらいのインパクトある真犯人に度肝を抜かれた。
……で、これは有りなの? ←急に冷静になった人
一つ一つの事件・事象にはそれぞれ説得力のある説明が付けられてはいるけれど、その事件・事象の世界観というかルールが共通していないので、ミステリとして成立しているとは思えない。どう好意的に解釈してもフェアではない。でも、驚いたし笑っちゃったから負けだな。
それにしても、このシリーズの進化はどこまで加速するんだろう。
AIが探偵をするSFミステリという括りの中で、
1巻はAIの抱える諸問題をテーマにしたサイエンスフィクション(SF)であり、AIが事件を推理するすこし不思議(SF)な物語だった。
2巻は探偵AIと対となる犯人AIが大活躍。そのAIの高性能ぶりが凄まじいすごく不思議(SF)な物語だった。
3巻はさらに飛躍してスペシャルファンタジー(SF)まで到達した感じ。
というわけで、ミステリとして読むと「そりゃねーよ(呆れ)」になること請け合いだが、エンタメ小説としてはぶっ飛んでてとても面白かった。