いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「オーバーライト3 ――ロンドン・インベイジョン」池田明季哉(電撃文庫)

グラフィティの騒動を通じ、お互いの距離が近づいたヨシとブーディシア。
ヨシの帰国が迫る中、ロンドンから、アイオンにグラフィティを学んだブーディシアの先輩・シュガーがクルーを引き連れてブリストルに襲来!
「人は必ず死ぬ。終わりの美しさを知る者だけが、豊かな生を過ごせる」という信念を持つシュガーたちによりボロボロに上書きされるブリストルのグラフィティ。立ち向かう〈女王熊の復讐〉のメンバーだが、肝心のブーディシアの書くグラフィティに異変が――!?
ブリストル最大の危機にヨシが取った行動とは? そして、ブーディシアの想いは? 激動の第3巻!


ヨシの帰国が迫る中、ブーディシアは書きたい絵が見つからずにスランプに陥っていた。そこに現れたのは縄張りの拡大を狙うギャングと、かつてブーディシアが憧れた先輩シュガー。ブリストルのグラフィティライターとヨシは街を守れるのか!?という3巻。

行政に有名ミュージシャンと来て、今度はギャングと同じグラフィティライターが相手。
相手がギャング=抵抗すれば待っているのは理不尽な暴力。市民の情と相手の信念に訴え掛けて自分たちの居場所を守ってきた彼らだが、理屈も情も通じない相手に窮地に。
それでも、強大で凶悪な敵に通じないと分かっていても自分たちのやり方を貫き通す姿、そしてそれで周りを巻き込み風穴を開ける姿が、最高にロックだった。これを格好いいと言わずしてなんと言う。1,2巻の敵が力を貸してくれる展開も熱かった。
ただ、もう片方の敵・シュガーに関して……アーティストには奇人が多いが、流石にここまでクレイジーだと凡人には理解不能だ。いくら魂が籠っていても、美麗な絵で納得するような人物には思えないんだがなあ。
まあ、そんなことよりブーディシアさんですよ。
膝枕に始まり、時に寄り掛かり時に腕にしがみつき時に熱い抱擁を交わす。2巻のおっかなびっくりのおぼこ娘はどこいったの?と言いたくなる積極性。彼女がスランプを克服するのが今回のメインだった気がするのだが、ヨシとイチャイチャするのを見せつけられていた方が多いような。いいぞもっとやれ。まあ心の方向性が決まったってことかな。
心地いい余韻と幸せな未来が想像できる綺麗な終わり方とあとがきを読む限りでは、これで終わりの可能性が高そう。ブーとネリナのキャットファイト第2戦・日本ラウンドは是非読みたいが。