いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「居酒屋ぼったくり おかわり2」秋川滝美(アルファポリス)

東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。
名に似合わずお得なその店には、旨い酒と美味しい料理、そして今時珍しい義理人情がある――。
全国の銘酒情報、簡単なつまみの作り方も満載! 旨いものと人々のふれあいを描いた短編連作小説、待望の番外編第2弾!


両親があの下町に店を構えた時のエピソードと、その両親が亡くなり美音が店を継いだ時のエピソードの過去編二編に、結婚後のその後エピソード三編を加えた、過去とそれからが語られるおかわりのおかわり。
過去編では寡黙で頑固な職人のイメージしかなかったお父さんの、それ以外の面が見えたのが良かった。特に他人に優しい、あの下町に相応しい一面にほっこり。それと下町の皆さんの久保田家とぼったくりへの愛がほとばしっていた。確かにこれはファンクラブだ。それはそうと美音と馨は久保田って苗字だったのね。以前に出てきたことあったっけ? 両方“元”になるのが、嬉しいような寂しいような。
その後のエピソードでは要の独占欲と美音の反応で新婚夫婦が砂糖を振りまいていたのが印象的。美音は気遣いの人なので、逆にちょっと雑な面が見えると気を許しているんだなと分かって甘い。
さて、毎回楽しみにしている料理の方は、ちょっと不発か。というか料理を詳しく説明するシーンがいつもより少なかった。一つ挙げるとするならオクラのせ山かけうどんかな。夏に食べたい一品。
その代わり、お酒(+ノンアルコール)の方が濃かった。しかも日本酒メインのぼったくりで焼酎を扱ってくれたのが嬉しい。飲んだことがあるお酒が出て来ると意味もなくニヤリとしてしまう。
そこで焼酎に甲類乙類について触れられていたけど、甲乙を気にして買ったことがないな。我が家は米とか芋とか主原料が持つ味や香りを楽しみたいから基本乙類しか買っていないんだと思う、たぶん。
おかわり二冊目も人情と甘味が楽しめてよかった。流石にこれで終わり?まだ続く?