いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「継母の連れ子が元カノだった7 もう少しだけこのままで」紙城境介(角川スニーカー文庫)

親の再婚できょうだいになった水斗と結女は、元恋人同士。
文化祭の一件から、元カップルだった記憶もいい思い出になりつつある秋のこの頃……結女が生徒会書記を務める、新たな日常も始まっていた! 緊張の面持ちで踏み入れた生徒会室に集うのは――意外と恋に多感な高校生たちで!? 水斗と散々嫌みを言い合った手前、いまさら好きだと言いにくい結女は、会長・紅鈴理はじめ女子メンバーの恋バナをヒントに、水斗から告白させるための“小悪魔ムーブ”を思いつき!?
「――私たちの、誕生日。予定、空けておいてね」
そしてきょうだいとして迎えるその日に、二人の想いは向かい合う――?


秋。結女の生徒会の仕事がスタートし、体育祭に二人の誕生日とイベント目白押しな7巻。
平和でイチャラブなラブコメだった。ここ数巻は葛藤とか自分なりの答えとか決意とか、緊張感をはらんだシリアスな回が続いていたので、久々に気軽に楽しめる話でほくほく。
しかしこれはどうしたことだ。残念さとヘタレ具合に定評があるヒロイン・伊里戸さん家の結女さんが恋愛強者のようだ。
ちょっとエッチな恋人ムーブを決め込むいさなを1ワードで黙らせ、生徒会の先輩方を次々となぎ倒し涙目にさせ、おまけに定期テストでは一位を奪還して同じ生徒会メンバーの一年生をぎゃふんと言わせる、結女無双が繰り広げられていた。
いさなはともかく、こと恋愛に関しては生徒会メンバーが結女以上の残念さを誇っていたからこその結果ではあるが、4巻でした決意がここに来てやっと実を結び始めていることに、ずっと見守ってきた読者としては感動を禁じ得ない。時間かかったなあ(苦笑)
まあ、実際の水斗とのやり取りでは、相変らず空回りと詰めの甘さが出てしまっているのだけど。そこも結女の魅力の一つ。いや大半か?
二人のプレゼント交換、の前の結女母の喜びようと水斗父の言葉にグッとくる誕生日イベントも良かったし、随所にかわいい結女が読めて大満足の一冊だった。今回は結女が攻勢だったので次は水斗の反撃に期待したいところ。