いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「勇者になれなかった三馬鹿トリオは、今日も男飯を拵える」くろぬか(Mノベルス)

小学校からの幼馴染であるアラサー北山、東、西田。三人は『勇者召喚』で異世界に召喚されるが、鑑定の結果、勇者ではないと分かり城から放り出されてしまう。異世界でのサバイバル生活を余儀なくされてしまう三人だったが……。
自分たちで獲ったものは、肉も、魚も、野菜も旨い! しかも食べると強くなっているような……? 娘のようにかわいい少女・ミナミと共に、三馬鹿は今日も狩りをして、飯を食って生きていく!


web版既読。
アラサー男三人が異世界の森の中で野趣あふれる方法で魔獣を狩って、それをワイルドに料理をして、男気溢れる啖呵を切る、ひじょーーーに男臭い異世界転移もの。
まず目を引くのが溢れる肉汁。彼らが作るサバイバル料理がとにかく旨そう。
料理をする描写からなかなかの飯テロ力があるが、真骨頂は食べた時の感想。本人たち、奴隷少女、受付嬢、同業者と多くの視点でそれぞれの旨いを表現してくる。
それに加えて、勇者召喚で日本人が過去に何人も召喚されている世界で、調味料はばっちり揃っているという設定がズルい。香りも味もある程度想像できてしまうので、飯テロ力が倍増している。
まさに「旨そう」の暴力。肉を目いっぱい頬張りたくなる。実際食べたら胸やけ一直線なのに。
もう一つ良いのがアラサー男三人のサッパリした性格。
勝手に呼んでおいて不要だからと放り出す城の人間にもっと怒っても恨んでも当たり前なのに、唯一の常識人の姫の助力があったにしても、城の外ではスパッと切り替え現状を力いっぱい楽しむ心意気。
また、青臭いと感じるくらいの正義感の持ち主たちで、自分の為でなく誰かの為には怒る。その時の啖呵が真っすぐで気持ちいい。スカッとする。
旨そう、楽しそう、気持ちいい。読んでいると自然に笑顔になる、そんな一冊。