雪女の恋人に殺人容疑がかけられた。雪女は彼の事件当夜のアリバイを知っているが、戸籍もない妖怪は警察に証言できない。幸福な日々を守るため彼女は動き出す――『雪女のジレンマ』
死体のそばにあまりにも平凡なダイイングメッセージ。高校生の岩永琴子が解明し、反転させる!――『死者の不確かな伝言』
人間と妖怪の甘々な恋模様も見逃せない人気シリーズ第4作!
岩永琴子の純真× 雪女の純真〇
此方と彼方の双方で酸いも甘いも知っていそうな琴子のどこに純真さがあるというのか……。
というわけで『虚構推理』の最新刊は、雪女が関わる中編2編とそれ以外の掌編短編が合わせて3編の計5編、雪女がメインの短編集。
その雪女たちが純真というサブタイトルにぴったりな魅力的なキャラクターだった。第一話の雪女は食いしん坊な一面と情の厚い面を併せ持つ可愛らしい人。第五話の雪女は愛した男の夢の為にその身を捧げる一途で愛の深い人。雪女の性質上どちらも悲恋の物語だが(片方はそうでもないか?)、だからこそ美しいと感じる結末だった。その純真さは隙があれば下世話な下ネタを突っ込んでくるどこぞのおひい様にも見習ってほしいくらい。
さて、そんな琴子が繰り出す“虚構”推理は、
相変わらず説得力ある嘘推理が冴えわたっている。しかも今回は一度被害者を悪者する推理を披露して相手を怒らせた後に、結論に持って行きたいもう一つの嘘の推理に誘導していくという性格の悪い手法を使ってくる。その手口の鮮やかさには唸るしかないが、よく考えると詐欺師の手口だわ、これ。だからどこが純真だというのかとw まあ、エンタメ小説だから面白ければなんでもO.K.なんだけど。
掌編短編の方は九郎の苦労の話が多め。第一話のオチじゃないが女難レベルは君がNo.1だ。あと、六花さんは一般人と絡むとホントまともで普通。
久々だったけど、今回も変わらず面白かった。
アニメ二期はこの雪女をメインに行くんだろうか。
それにしても帯のアニメ二期宣伝絵がひどい!w