いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「異世界食堂 6」犬塚惇平(ヒーロー文庫)

オムニバス形式のエピソード集としてお届けする待望の第6巻。
時に森の中に、時に海岸に、時に廃墟に……その扉は現れる。
猫の絵が描かれた樫の木の扉を開けて「いらっしゃいませ」の声に導かれて歩を進めると、窓もないのに不思議と明るい部屋の中。古いながらも清潔で心地のよい内装。出されたメニューに掛かれた料理名は日本人なら誰もが知っている料理。しかし「あちらの世界の人たち」にとっては見たことも聞いたこともない料理ばかり。「こちらでは普通なんですか・・・」と言って店主が作る料理に「あちらの世界の人たち」は魅了される。生まれも、育ちも、種族もばらばらな客たちは、週に一度、土曜だけ開店するその店をこう呼ぶ――「異世界食堂」。さぁ、今週のお客様の注文は?


約二年半ぶり、令和初の異世界食堂第6巻。
今回のハイライトは店主の姪っ子・早希の登場でしょう。
独身で浮いた話の全くない店主で、止めたいときに止めていいというエピソードまであって、店主の代で終わりだと思っていたねこやに、料理人志望の姪の登場で未来が見えたのが純粋に嬉しい。面接の日時からして暦おばあ様のお墨付きをもらったようなものだし。
ただ、彼女の登場と共にクロの霊圧が消えたが……
(web版と書籍版でクロの立場が大きく違うので、早希とクロに面識が生まれると大改稿しないとならなくなる。アニメ化に合わせた刊行でそれをやっている時間がなかったから、居ないことにされたんだろうな)
常連客の中で今回目立ったのが、エビフライことハインリヒ。 
プライドの高い騎士で海老至上主義、いつも俺が俺がの彼が、海老以外に興味をもったり他の常連客に気遣いをしたりと、心の余裕を持つ行動をしているの印象深い。接点のなさそうな甘味専のあの人とのコラボは意外性があって面白かった。
料理での一押しはアヒージョ。味の描写に加えて熱にこだわった描写で、熱っ!旨っ!が伝わってきてお腹が辛い。浸して食べる締めのパン、至福ですよねー。次の日の口臭は気になるけどw
次を望むのは厳しいか。アニメ二期がなければきっと出てなかった巻だからなあ。7巻の為にアニメ三期、お願いします←