いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー (3)」佐島勤(電撃文庫)

FEHRとの提携交渉のためUSNAへ向かう真由美と遼介。優秀な魔法師の海外流出を防ぐために海外渡航が自粛されている中での渡航。自粛を要請している国防軍への挑発行為と受け取った情報部は、国を牛耳る陰の組織、元老院へ助力を求める。
しかし、国内に残る達也にも策はある。魔法師の自由を確立するため、魔法の存在意義を示すため、達也が持つ最強魔法、マテリアル・バーストが放たれる――。
一方、魔法大学のキャンパスでは普段と違う空気が流れていた。リーナが渡米しているため深雪の護衛として達也がそばにいることが増える。そのことにやきもきする、とある男女の姿が……。


お兄様、最早地球上に敵なしの為、敵を宇宙に求める。
この後、彗星を破壊されたことに怒った宇宙産パラサイトが地球侵略を開始するんですよね!
・・・という九割冗談は置いといて、

短めの本編と、新シリーズになってから出番のないメンバーの大学生活を描く短編が二編の変則的なメイジアン・カンパニー3巻。
本編の方は、表はアメリカ出張の準備をする真由美さん他、裏は達也を気に入らない国防軍の大人たちの動き。
裏での画策とか権力争いとかやりだすと、途端に話がチープになるのは前シリーズから変わらずか。
どんなに裏で動いても達也が害される可能性を1ミリも感じないのが最大の原因。それと悪役が語り過ぎでバカっぽく感じてしまうのと、強者と弱者がはっきりしていて話に意外性がまるでないのがね。今回もこの人だなと初めに想った人が案の定消されたし。陰謀の内容を読者に伝えなければならないので仕方がない面もあるのだが。
まあ、今回はアメリカ編に向けての準備ということで割り切って、お兄様の宇宙花火を楽しめばいいと思う。
短編の方は一条とほのかが主役の片想いが終わる悲恋話。
一条の方は、真紅郎くんマジで乙!以外ない。
一条がポンコツ過ぎて、親友を見守るというよりは子守りに近いものが。ラブコメで主人公だったら鈍感主人公で行けたかもしれないが、そういう話じゃないのよね。それにしてもプリンスは立場上、裏社会の汚さなんていくらでも見ているだろうに、どうしてこうも擦れていないのか。
ほのかの方は恋する乙女のままじゃいられなかった話。
健気で一直線なところはもちろんだが、報われない不憫さも彼女の魅力の一つだったので、それがなくなってしまうのは悲しい。
あのまま後輩二人を転がすのかな? 余裕ぶったお姉さんの外面で中身は純情……真由美さんかな?