恋に悩みはつきものだ。
気持ちを伝える勇気がほしい。意中の相手の好きな人が知りたい。誰かに悩みを聞いてほしい。背中を押してほしい。
そんなやつらの気持ちが、俺には痛いほどわかる。
忘れられない過去があるから。そして、彼らを救える「ちから」があるから──。
だから、俺、明石伊緒は“天使” となった。
「やっと見つけたわ、久世高の天使」
恋多き乙女、柚月湊の異常な惚れ癖を直すため、天使は少女の頬に触れる。記憶と恋がしゅわりと弾ける、すこし不思議な青春物語。
『顔に触れた相手の、想い人がわかる』という少年と、極度に惚れやすいことが悩みの少女が織りなすちょっと不思議付きラブコメ。
主人公の不思議な能力に関しては別に引っかかるところはなかったのだが、ヒロインの前提条件と感情が理解できなくて頭に「???」を浮かべたまま、なんとなく最後までいってしまった。そんな感じ。
とにもかくにもヒロインの心情がまるで想像できないので、感情移入もなにもなかった。
異常な惚れ癖っていうけれど、主人公が能力で触って確かめないと好きになっているかどうかもわからないってどういうことなの? それって別に好きでも何でもないよね? 彼の能力が彼女に対してだけバグったとか都合のいい設定の方がまだ納得がいく。それに、そもそもこのヒロイン自身が、恋愛どうこういう精神状態で内容に見受けられるのだけど。
それでも後半の第六章で、とりあえず感情面は置いといて、理由については何となく納得のできる説明がされたかな、と思った矢先の問題勃発の第七章。これがまた分からない。
解決方法が力技というかむしろ悪手で、どうしてこれで上手くいったのか理解に苦しむ。どう転んでも事態が悪化するビジョンしか見えないのだが。
良いと思ったところは男気溢れるサブヒロイン二名のキャラクターくらいで、あとはとことん合わなかった。ストーリーが全体的に辻褄があってないというか、原因と結果の焦点が合ってない気がしてしょうがない。細かいことが気になるタイプの人には合わない作品だと思う。