いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「継母の連れ子が元カノだった8 そろそろ本気を出してみろ」紙城境介(角川スニーカー文庫)

会長・鈴理の提案で旅行に行くことになった生徒会。水斗にいさな、星辺先輩、暁月と川波も誘い出し、勢揃いで向かう先は恋人の集う街・神戸! 港町に温泉街、夜景スポットを巡るなか、それぞれの恋の思惑、駆け引きが繰り広げられ――!? そんな様子をROM専として眺める川波も、今回は例外ではないようで。
「――あたし、まだ、こーくんのこと普通に好きだよ」
恋愛感情アレルギー体質を治そうと、彼女モードの暁月による荒療治が始まった! 失った“あの頃”の関係、守ってきた一線、そして積み重ねてきた時間を、振り切るのは簡単ではないけれど。ホンネでぶつかる恋が乱れ咲く、神戸旅行編!!


11月後半の連休に生徒会の親睦旅行が計画され、宿の部屋の関係で水斗たちいつものメンバーも付いていくことに。若い男女のグループで神戸旅行な8巻。
生徒会の二年生女子は意中の相手を振り向かせる為、南は川波の厄介な体質の改善の為、いさなは他人との旅行という苦境を乗り越える為←、女性陣がそれぞれに勇気を出して頑張るお話。明日葉院さんは……まああれだ、マスコットキャラクター的な。
いくつもの恋愛模様がより取り見取りな、ROM専川波とラブコメ好き読者に美味しい展開。
中でも良かったのが、亜霜先輩と元会長星辺のペア。強い承認欲求ゆえに小悪魔を演じてきた少女と、怪我でバスケを引退後目的を見失った少年の恋の物語。
亜霜の小悪魔な外装が剥がれ落ちて本気になってしまった経緯と、その本気を受けて前向きになった星辺の変化。どちらにもグッとくる。しかし、告白する勇気の話をした後で亜霜にこの二段構えの告白をさせるのは、演出が上手いのは間違いないんだけど、なんかズルいというか作者が鬼畜というかw
さて、そんな女性陣が奮闘している中(一部方向性が違うのは気にしない)、我らがメインヒロインは……主な出来事が足湯でこっそり手を絡めただけって、結女ちゃんさあ。7巻で少し頑張れたと思ったらまたヘタレに戻ってるじゃないか。決意の4巻からどれだけ経ったと思っているの。あなたにはがっかりだよ。
そろそろ本気を出してみ“る”じゃなくて“ろ”のサブタイトル通り、恋愛模様を見せつけて結女を焚きつける話……になったらいいなあ。今回のラストでも何やら決意してたけど、毎度すぐにヘタレるからもう信用度はゼロですわ。
次回、毒?父親登場。一波乱は間違いないとして、変な方向に拗れなきゃいいけど。