いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「この△ラブコメは幸せになる義務がある。」榛名千紘(電撃文庫)

「なんであんたが麗良に好かれるのよ!?」
平凡な高校生・矢代天馬は偶然にも、同じクラスのクール系美少女・皇凛華が彼女の幼馴染の清楚系美少女・椿木麗良を溺愛していることを知ってしまう。
そこから天馬は、凛華が麗良と仲良くなれるよう協力することになるのだが──。
「矢代君が凛華ちゃんと付き合ってないなら、私が彼女に立候補しちゃおうかな?」
「矢代、あんたなにしたの!?」
その麗良は天馬のことが好きになり、学園の美少女二人との三角関係へ発展!
複雑に絡まったこの恋の行方は……!?
電撃小説大賞《金賞》受賞! ラブコメ史上、最も幸せな三角関係が始まる!


容姿成績運動神経全て平凡な主人公・天馬と、ロシアンハーフで品行方正な優等生美少女麗良、外見は冷淡な印象の強面美少女でも中身はヘタレなガチ百合の凜華。凸凹な三人が織りなす奇妙な三角関係ラブコメ
こうやって簡単な紹介文を書くだけでも、凜華だけ突出してキャラクターが濃いな(^^; そんな三人のキャラクター性や出番のバランスの悪さに、場面の切り替えや繋ぎが下手さが目立つ、新人賞らしい作品だった。
でも、光るところもいくつもあった。
特によかったのが後半の主人公天馬の熱さ。
前半は、なんで恋愛ごとに興味がない男子を主人公にしたんだろう?と首をかしげるくらいラブコメ主人公としては失格もいいところだったのだが、後半は凜華の険しい恋路を献身的なサポートと厳しい激励で支える、友達がいと男気に溢れるナイスガイに。
それと必死さや一生懸命さを表現するのが上手い。
三人三様に頑張っている姿が伝わってきて、思わず応援したくなってしまう。タイトルの通り三人ともに幸せになって欲しいと思える。
新人賞らしく粗が目立ち、ラブコメの“ラブ”はかなり微妙だったけど、青春コメディとしては清々しい読後感が味わえる作品だった。

別に問題があるわけではないが、男からのベクトルがなく矢印が二つしかないのに三角関係なのか?という素朴な疑問が。