いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「七つの魔剣が支配する IX」宇野朴人(電撃文庫)

決闘リーグがいよいよ終盤へと突入し、激闘を勝ち残った四チームによる決勝戦が幕を開ける。オリバーたちの初戦の相手はヴァロワ隊。リーダーのユルシュル=ヴァロワが操る理解不能のクーツ流が三人を苦しめ、その剣戟はやがて、彼女が抱える異常なまでの憎悪を浮き彫りにしていく。
一方、優勝候補の一角であるアンドリューズ隊とコーンウォリス隊が対戦。アンドリューズとステイシーの熾烈な呪文戦から始まった戦いは序盤から二転三転し、それぞれの想いを乗せたぶつかり合いの果てに、予想外の結末を迎える。
そんな中、珍しく観戦に現れた天文学の教師デメトリオ。教師殺しの犯人を探る哲人の眼差しが、オリバーたちを鋭く見据える──。


三年生の決闘リーグがついに決着。バトルバトルバトルな9巻。
純粋にアクションが面白い回だった。
元々剣術と魔術が掛け合わさった緻密なバトルシーンを見せてくれるこのシリーズだが、この決勝戦はそこに色々な要素が加味されていて熱いバトルの連続。決勝の特殊ルールは戦術の幅を広げ、対戦相手との因縁、羨望、嫉妬、怨みなどの強烈な感情のぶつかり合いがあり、時折入る回想シーンでは何人かの人生や己の生き様など、この一戦に掛けているものの重さを見せつけてくる。そのどれもがその一戦に引き込み、どれも接戦だったこともありワクワクよりもハラハラが強い、手に汗握りっ放しの一冊だった。
こんなに感情を揺さぶられたら、ナナオが高ぶってしまうのも仕方がない。挿絵の甘さに対して、文章は愛の告白なんだか果たし状なんだかわからないのは、ナナオの性格というよりキンバリー故のような気がする。キンバリーでは友達になるのも恋をするのも一苦労だ。
このまま上級生の決勝に移っていくのかと思いきや、また別の事件が勃発のようで。
次回はカティが話の中心か。類は友を呼ぶ。あの六人、やっぱりまともな奴はいないのなw