いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「かくりよの宿飯 十二 あやかしお宿の回顧録。」友麻碧(富士見L文庫)

あやかしお宿「天神屋」に嫁入りし、大女将見習いとして働く葵。彼女のもとに、現世へ留学するあやかしたちからの相談が寄せられていた。隠世と現世の交流が増えたことで、その分お悩みも増えていたのだ。葵は自らの体験を振り返り、人とあやかしが共に暮らすコツを手紙にしたためることに。するとそこへ大旦那もやってきて、昔話に花が咲いていき――。
葵が隠世で生きる決意をした日の裏話。天神屋創立に馳せた大旦那の想い。そして知られざるチビの大冒険。葵とあやかしたちが過ごした、ささやかな日々の回顧録


特典用SSを中心に集めた『かくりよの宿飯』その後短編集その2。隠世にいる葵から現世にいる鈴蘭宛に送った手紙という体で、葵が天神屋に来たばかりの頃から本編終了後まで、折々の葵や天神屋の日常のエピソードが語られる短編集。

なんだこのかわいい鬼は。
大旦那様が現世に来た時のエピソードが多いのと、後半になると葵が大旦那様大好きになるので葵目線の大旦那様が可愛い話もいくつかあり、大旦那様萌え本と言って差し支えない一冊。
(手毬河童のチビもよく出て来るが、奴が出て来ると話がワンパターン化するので割愛で)
妻のお弁当に小躍りしそうなくらい喜び、コンビニスイーツを買いあさり、業務用チョコレートをドンキへ嬉々として買いに行く、老舗旅館の主にして妖怪世界の重鎮。ギャップ萌えの権化ですか。本編後半で捕われの姫ポディションというバリバリのメインヒロインを張っただけのことはある、貫禄のヒロイン力。
また、予想外に楽しめたのが『浅草鬼嫁日記』とのコラボ作品。『浅草鬼嫁日記』は読んだことがないが全く問題なかった。あちらのキャラが大旦那様の旧友として出て来て、旧知の彼らを相手に素で話す大旦那様の様子が その中で葵への気持ちがいつも以上に素直に語られていて、それはもう惚気る惚気る。葵さん好きすぎだろう。
さすがにこれで終わりかと思ったら、社員旅行編の予定があるようで。今から楽しみ。