いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「義妹生活5」三河ごーすと(MF文庫J)

誰にも知られてはいけない、二人だけの秘密の生活が始まった。
兄妹のようで恋人のようでもある、名前をつけられない関係を育む悠太と沙季。自分の都合を押しつけたりせず、かといって抱え込みすぎもせず、適切に頼り合いながら、お互いに理想のパートナーでいようと試みる二人。初めてのデート、不慣れなファッション、友達の誕生日会、そしてハロウィン。様々な出来事を通して、同じ時間を過ごす中で、異性に期待せず生きてきた二人に少しずつ『変化』の兆しが見え始める。また周囲の人間も、徐々に彼らの『変化』に気づき始め……?


それぞれ異性の親に恵まれなかった境遇と優しい性格ゆえに、過度に人に気を使い異性に期待をしない悠太と沙季。そんな二人がほんの少しだけ自分の気持ちに素直になった結果……とっても甘酸っぱくなりました。
もっと我が儘になってもいいんだよと言って上げたくなるぐらいのかわいい我が儘だったけれど、効果は劇的だった。二人の間の空気がいつもより柔らかく、少し甘い。
それと目に見えて変わったのが、二人一緒の時間が増えたこと。
これまでは悠太の視点はともかく、沙季の視点は何かのイベント後の沙季の感想か、他の誰かと合っている時が多かったのが、今回は一緒に居る場面が多いので、同じ場面(主にデート)を相互の視点で読めるのが嬉しい。お互いの何気ない発言が相手に刺さっていたり、触れ合った時のそれぞれの感想の違いとかが見えて、それがもう初々しくてキュンキュンする。
こうしてみると恋愛感情は沙季の方が強いように思える。というかこれはもうぞっこんでは? まあ悠太視点の方は彼の独特な考え方・ものの捉え方の方に関心が行きがちなのもあるかもしれないが。今回も「夕飯何食べたい?」の返しの、「なんでもいい」を回避する方法には感心しきり。
やっと関係が前に進んだ二人。この二人のことだから、今回くらいの我が儘でも自己嫌悪に陥ってまた後退しそうな気がするけれど、一進一退を繰り返してゆっくりじっくり愛を育んでいって欲しい。この過程を楽しむのがラブストーリーの醍醐味よね。