いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ママ友と育てるラブコメ」緒二葉(ガガガ文庫)

昏本響汰は、3歳の妹が大好きなシスコン高校生。両親が共働きで家事育児もこなす。暁山澄は容姿端麗、頭脳明晰な孤高の少女。その存在感で何人たりとも寄せ付けない。ある日妹の入園式に参列した響汰は、頬を紅潮させ、カメラマンばりにシャッターを切る澄の姿を発見する。「郁、なんて愛らしいの……」彼女も、超ブラコンなお姉ちゃんだったのだ! お互い妹・弟の世話をしていることを知り、徐々に仲が深まっていく。料理、幼稚園の送り迎え、休日デート。そう、まさに二人の関係は“ママ友”だったーー。子育てラブコメ堂々開幕!


多忙な親の代わりに歳の離れた妹・弟の親代わりをしている主人公・響太とヒロイン・澄。二人の弟妹が同じ幼稚園に入ったことをきっかけに始まるラブコメディ。
のっけからクラス内で妹ラブを堂々と公言する響太の印象は、シスコンが極まったやべーやつ。これはラノベブコメの主人公とは思えない随分とパンチの効いたキャラを持ってきたな。と思っていたら、ヒロイン・澄もブラコンが極まったやべーやつだったという。な、なんだこれは!?
主人公とヒロインが、妹/弟第一主義でラブの気配がほぼ感じられないのにラブコメと名乗っていいのだろうか? 兄弟愛もラブの一つといえばそれまでだが。
話としてはお互いに助け合って妹・弟の面倒を見ることで親交を深めたり、父の言葉と弟の存在で自分を縛って自滅しそうな生真面目な少女を主人公が陰から支えてと、心温まるいい話なのは間違いない。ただ、響太が澄を助ける理由が、本人が心配だからというより、仲良くなったお姉さんが泣いたら妹が悲しむからなので、素直に感動したり褒めていいものか悩む(苦笑)
まあとりあえず、二人が同類(同病?)でお似合いなことだけは確か。
三歳児の物分かりが良すぎて違和感があったり(少ない伯父経験から言うと、五歳児だと思って読めば違和感少なく読めるかもしれない)、話の前後の繋がりが怪しかったり(一章の終わりななんだったの? 十章の初めが唐突すぎて意味不明)で、作品としての出来はギリギリ及第点といったところだが、ぶっ飛んだ主人公とヒロインをメインに据えたキャラクター小説としてはインパクトがあって面白かった。流石色物ガガガ文庫という作品。