いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「はたらく魔王さま! おかわり!!」和ヶ原聡司(電撃文庫)

「カレーってどうやって食べる?」
きっかけはクラスメイトとの些細な会話だった。
ごはんの上にかける、混ぜる、バラバラに食べる。世の中には色々あるらしい。
そんな日に訪れた、いつもと変わらない賑やかな魔王城。
その日の献立は奇しくもカレーで……!? そして明らかになる芦屋がカレーを作りたがらない理由とは――!
TVアニメ第2期放送を記念して『電撃ノベコミ』アプリ上で連載していた7つの短編に、書き下ろしを加えた特別編が登場!
はたらく魔王さま!』本編時系列の裏話をちょこっとひとつまみ。
あのフリーター魔王さまたちが贈るいつもの日常をもう一度、おかわり!


おかえり魔王さま! 
9年ぶりにまさかの二期放送となったアニメに合わせて、原作も帰ってきた。本編の合間の日常を描いた8編からなる短編集。
時系列がバラバラなので若干戸惑うこともあるが、みんなの置かれた状況や恵美や鈴乃のデレ具合で、「本編だとあの辺だな」と当たりをつけて、当時を懐かしむのもまた楽しい。
そして「おかわり!!」のタイトルに相応しく?食事がテーマ。
カレー、ハンバーガー、スイーツ、カレー、担々麺、カレー、カップラーメン、天ぷら……カレーとジャンクフードを食ってた記憶しかないんだがw
半分くらいは食費がメインの問題で、それ以外も含めて食べるのは日本人がよく食べる日常食というのが、庶民派ファンタジーのこの作品らしい。いや、ファンタジーをどこかに置き去りにして、所帯じみている気がしなくもない。
さて、そんな食べてばかりの短編集だったが、その中で一番のお気に入りは恵美が閉店してしまった蕎麦屋のカレーを追い求める『勇者、失ったものを探して迷走する』
初めてのカレーに対する愛着と執着には共感できるし、普段弱みを見せたがらないのに弱々しく千穂に頼る姿は庇護欲をそそるしで、勇者カワイイな話。蕎麦屋のカレーって独特の美味しさがあるよね、わかる。赤ん坊に呆れられるオチも秀逸。
また、もっとも笑ったのは『悪魔大元帥、禁断の誘惑に敗北する』
あの堅物芦屋の壊れ様と墓穴を掘りまくっていく姿が珍しくて面白く、挿絵のインパクトもあって大いに笑わせてもらった。
そんなわけで、久々に魔王ファミリーの仲の良さを堪能出来て大満足。
あとがきに「また次の巻で」とあるので次も期待していいのかな? 次はもっと千穂ちゃんの活躍を読みたい!