いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「義妹生活6」三河ごーすと(MF文庫J)

ハロウィンの魔力に惑わされるように恋人同士の温もりを求めた悠太と沙季。
表向きは今までと同じ距離感を保ちながらも、その関係の在り方には確かな変化があった。
互いの誕生日、サプライズとすり合わせ、クリスマス、初めての年越しと、里帰り。
プレゼントや記念日の過ごし方、相手の喜ばせ方に悩みつつ、不器用な二人なりに幸せな道を模索していく。
そして、両親や親戚の姿から大人になることや家族の繋がり、恋愛関係のその先……結婚や子どもについても考えさせられ……?
これは、兄妹になった二人が過ごす初めての冬の物語。


ハロウィンの夜にお互いの好意を伝え合った二人が迎える冬。二人の誕生日やクリスマスなどイベント目白押しな第6巻。

おお、ちゃんと恋人同士っぽい。
親の所為で異性に期待しないこの子たちの事だから、自分で勝手に壁を作って一歩二歩後ずさって、好き同士だと分かっても今までとあまり変わらないじれったい展開を予想していた。そうしたら、お互いのことを思ってのプレゼント選びにバイト後のデートと、ちゃんと恋人らしいことをしていて、ちゃんと甘さが出ていて嬉しいやらこそばゆいやら。それに、相変わらずのおっかなびっくりな距離感や、相手のことを気遣い過ぎてぎこちなくなったりするのも、この二人らしさと成りたてのカップルらしい初々しさにも繋がっていて、なんとも微笑ましい。やっぱりいいな、この空気感。
初めからこんなに上手くいったのは、誕生日という特別なイベントに加えて読売先輩のナイスアシストも大きかった。二人の性格を読み切っての的確なアドバイスにプレゼント。よっ名バイプレイヤー!
そんなキュンキュンニマニマな誕生日の後は、家族でのクリスマスパーティーに悠太父の実家長野への帰省と「家族」がテーマに。
歳の近い従兄の結婚を目の当たりにして、一足飛びに結婚後を想像し始める悠太。なんだかんだ彼もやっぱり男の子だなと。幸せな未来よりもリアルな心配事が先に来る辺りは彼らしいけど。
一方、母の再婚相手の実家という完全アウェイの沙季にはそこまで考える余裕がなかったけれど、唯一の味方である悠太と人付き合いが苦手な自分を見つめ直すいい機会に。しかし、最後のあれはズルいわ悠太。ねえ沙季さん。
想いが通じ合った直後の今回、一緒に居たい、隣を歩きたいという想いを同じくした二人が、共に未来を見据えているのが純粋に嬉しかった。特に一人で生きることしか考えていなかった沙季の心変わりには感慨も一入。この想いもいつか意識のすり合わせが出来ると良いけど。
次回はバレンタイン&修学旅行編。ラブコメ定番イベントがどう表現されるのか、楽しみ。